週刊アクセス
 
 
平成12年10月4日 第25号
 
     
  今週のヘッドライン  
 

改正都計法 調区「既存宅地」施行前に確認申請必要
日本不動産研究所 「証券化プロジェクト室」設置
"マンション管理士"創設

 
     
     
  改正都計法 調区「既存宅地」施行前に確認申請必要  
     
   H12.5.19改正で既存宅地確認制度が廃止されているが、施行日(改正日から1年以内の政令で定める日)の前日までに申請し確認を受けると、自己使用に限り以後5年を経過する日まで建築可能となる(改正法附則第6条)。これを経過すると、改正法の手続きで市街化調整区域の建築許可を受けることとなる(都計法第34条)。

いわせてんか!調区での建築は、従来「既存宅地」か「分家住宅」以外厳しかった。今回改正でこれが廃止され、許可規準が多少緩和されたが、詳細は各地方自治体の運用規準に委ねられることとなる。「既存宅地」でいけるなら申請を急ぐ必要がある。また、鑑定評価でも「再建築」の可否判断で「施行日」が重要事項となってくるだろう。
なお、大阪府の取扱については、以下のURLで確認できる。
http://www.pref.osaka.jp/osaka-pref/dg/dg04.HTM

 



日本不動産研究所 「証券化プロジェクト室」設置
  (住宅新報 H12.10.13号)   
   同室は、不動産投資ファンドでの詳細調査(デューデリジェンス、以下DD)や鑑定評価を専任する。金融知識を持つ不動産鑑定士など7人程でスタート、全国の支所と本所を結び、東京のみならず主要地方都市のニーズにも対応する。また、ファンドでは決算期ごとの定期評価が求められるため、各分野のコンサルタントやゼネコン、弁護士、会計士等とも連携しながら、総合的なDDを手掛ける構えである。

いわせてんか!同室長小林信夫氏の発言。
「鑑定評価もDDも調査の手順に違いはないが、その深さと範囲の広さという『程度』が違う。鑑定ではあまり重視されない建物の減価要因や見込まれる修繕コストの算出などは投資価値を求めるDDには不可欠な要素だし、賃貸収入に関する調査もマーケット分析や将来予測を踏まえたキャッシュベースの実質価値に注目する」
「徐々にデータ化を進めているが、われわれの力だけでは限界があるので、商業コンサルタントや、ゼネコンなどに協力を求めている。それぞれの専門家と協力しながらすすめるのがDDといえるだろう」

不動産証券化の目玉である不動産投資信託について、不動産鑑定の大御所が音頭をとった。「新たなデータに基づく新手法」と「数多くの案件」をこなすには"大手"が動くしかない。同所の"公益法人"としての立場で、インデックス等証券化のための基礎データについて、民間スタンダードをぜひ模索していただきたい。同所の証券化関連URLは以下。
http://www.reinet.or.jp/jp/7-syoken/7-mokuji.htm




 
"マンション管理士"創設
(日経 H12.9.29)
 自民、公明、保守の与党3党は、28日、民間や公団などの分譲マンションの適切な管理を支援する「区分所有住宅の適正管理推進法案(仮称)」をまとめた。管理会社の登録を義務付ける制度を新設し、悪質な業者を排除することや、住民で組織するマンション管理組合に助言、指導する国家資格「区分所有住宅管理士」の創設を盛り込んだ。2001年度中の施行を目指す。

いわせてんか! 全国の分譲マンションの約4分の1は築後約20年経過しているといわれ、劣化、老朽化等がかなり進んでいるものも多いはず。特に中古マンション等を購入するときは管理の良いマンションを!とは、よく言われるが、実際、管理組合の管理意識の程度、管理業者の良否はなかなか判断しにくい。この法案の施行後は、「区分所有住宅管理士(マンション管理士)のいるマンションなら管理優良」とは、必ずしも言えないにしろ、少なくともその中古マンションの価格形成にプラスには働くだろう。ともあれ、マンション管理士が国家資格となり、管理良好な良質のマンションが増えることは大歓迎であり、今後の動向に注目したい。



 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成12年10月4日号・完―  
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