週刊アクセス
 
 
平成14年1月16日 第91号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
50年後は人口減少 不動産は増えるのか
国税不服審判所 公表裁決事例の過去5年分をHP上に全文掲載
全宅連 環境省・土壌環境保全対策案に意見書
こだわる条件が増える傾向に 新築マンション契約者調査
 
50年後は人口減少 不動産は増えるのか
(住宅新報 H14.1.11・18号)
 
 不動産マーケティングのアトラクターズ・ラボ(沖有人社長)はこのほど、日本の人口は3年後の05年をピークに減少を始め、2050年には現在より3割近く少ない9000万人を割り込む、とする総人口の予測調査結果をまとめた。
 同社では予測が広く利用されるように、データを無量で提供する(gianni@a-lab.co.jp)。

 ピークを迎える05年の人口は1億2700万人。
 団塊の世代が寿命を迎える30年以降になって減少幅が拡大。45年前後には1億人を割り込んで、50年には9000万人も割り込むとした。

いわせてんか!
 50年後に人口が3分の1になれば不動産の需要も3分の1になり不動産価格は下がるだろうか。もちろんそんなに簡単な構図ではないが、不動産価格が50年後に上昇するというのは、なかなか予想しにくく、構造的には先細りかもしれない。しかし昨今のような不動産業界を50年前には誰も予想しえなかったはずである。50年後に笑って振り返られるように、今こそ地に足のついた不動産の有効利用、さらには都市計画が必須なのである。




     
     
国税不服審判所 公表裁決事例の過去5年分をHP上に全文掲載
  (21C・TFフォーラム H14.01.09)  
 
 国税不服審判所は、H14.4を目途に平成12年12月末までの5年間に裁決事例集で公表した324件の事案を全文、同所のホームページに掲載するべく準備を進めている。
 平成12年11月の総務省の行政監察における「裁決結果の公表拡大の余地があるのではないか」との指摘や、昨年4月に施行された情報公開法では、裁決書は行政文書との位置付けから開示対象とされていることから、公表分をHP上で掲載すると同時に、その5年間に行われた全裁決約4500件の要旨を、約1万項目のインデックスでネット上で検索できるシステムを作る準備も進めている。
 これまでは活字媒体でしか公表されていない裁決事例だが、税務実務上の実例との比較・参考などその需要は大きいことから、HP上の公開は実務家の利便に大きく資するようだ。


いわせてんか! 税金は経済行為に対し課税するものだから、その数だけ課税の仕方がある。過去に取り扱った事例や、通達・事務連絡で処理が概ね確定しているものについては、事前に「申告」するガイドラインがわかるのだが、ルーチン業務外、特に資産課税関連は案件ごとの個別性が強く、わかりづらい。国税庁は事務連絡や質疑応答をHPで公開するとはいうが、先例を作っては、また揚げ足を取られるのがいやなのか、なかなか数が増えない。
 そこで、参考となるのが「判例・裁決」である。税金の判例は、HPでいうとTKCや税理士会のTAINSなどにおいて有料で収集可能だ。裁決例は活字では年2回、HPでは公開裁決のうち一部が公開されていた。これを今回全面公開に移行するという記事である。検索の優位性を考えると、実務家には願ってもないことである。
 税務裁判例は結審までの時間を考慮するとタイムラグがあり、また、個別性を比較考量の拠り所とするため、いまひとつ参考になりがたいことがある。裁決は具体案件につき、大体当局の判断を理論付けることが多く、これを知るには絶好の材料である。

   国税不服審判所
   裁決事例要旨集





全宅連 環境省・土壌環境保全対策案に意見書
(R.E.PORT最新不動産ニュースH14.1.11)
 
 (社)全国宅地建物取引業協会連合会は11日、環境省の中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会が2001年12月25日〜2002年1月15日の期間行なっている「今後の土壌環境保全対策の在り方に対する考え方のとりまとめ案」についての意見募集に対し、意見書を提出した。
 同とりまとめ案は、2001年10月18日に環境大臣より同審議会会長に対し「今後の土壌環境保全対策の在り方について」諮問されたことを受け、同審議会に土壌制度小委員会を設置しまとめたもので、同小委員会がこれに対し広く国民に意見募集を行なった。
 今回の全宅連の意見書では、「土壌汚染の把握−調査の実施主体」と「土壌汚染による環境リスク管理−リスク低減措置の実施主体」について、「汚染原因者を義務者とし、事業活動における土壌汚染防止措置をさせて当該防止措置に要するコストの最小化を図り、国全体の土壌汚染対策コストの最小化につなげる」という意見のほか、「土壌汚染によるリスク管理が必要な土地の台帳の登録・公告」については、「リスク管理地において浄化措置がなされた土地は、指定を解除することになっているが、土地の履歴情報として何らかの形で記録を残すための早急な整備を図ること」など積極的な意見が出された。
 また、同連合会は土地環境保全のための基金造成の検討について、「不動産業界は、もともと汚染原因とはまったく異なる立場にあり、土地の有効利用促進に協力する立場にあるので、国、地方団体などの積極的関与が求められているが、汚染原因者である特定業界に求めるべき」と述べている。

いわせてんか!
 非常に理想的というか身勝手というかなんとも言い難い意見である。汚染原因者といえども何らかの形で日本経済の成長期の発展に貢献をし、国も我々も間接的に何らかの形で利益を享受していたようにも思える。私見としては、やはり公的機関の関与が不可欠のようにも思えるが…。





こだわる条件が増える傾向に 新築マンション契約者調査
(ISIZE住宅情報News H14年1月9日号)
 
団塊ジュニアやDINKSが増え 40代、ファミリー世帯が減少
 本誌(住宅情報)の「首都圏新築分譲マンション契約者調査」がまとまった。今回は2001年7月〜9月の契約者の動向を取りまとめている。
 購入者の年齢構成を見ると、25歳〜29歳の「団塊ジュニア」が16.4%と前年同期比4.4ポイント増加するなど、若年齢化が進んでいる。逆に40代は17.4%と同4.3ポイント減少しており、平均年齢は同1.3歳若くなって36.5歳だった。
 ライフステージ構成では「夫婦のみ世帯」が増加しており、同5.7ポイント増の33.2%となった。特に「夫婦のみ共働き世帯(DINKS)」が微増しており、2001年契約者では常に2割を超えている。一方、子どものいる世帯は減少傾向にあり、2001年契約者では過半数割れとなった。

親からの援助が増加傾向 贈与額の平均は約550万円  資金計画に目を向けると、まずローン借入総額は3000万円未満までの割合が増加傾向だ。2001年7月〜9月の平均額は2904.9万円で、前年同期比107.6万円減少している。
 頭金の平均額は1125.7万円で、同31.6万円アップ。特徴的なのは「親からの援助あり」が増加傾向にあることで、その割合は30.6%と同5.4ポイント増えている。贈与額の平均は557.7万円と、2001年の契約者は550万円前後で推移しており、500万円前後だった前年に比べてやや多い。

「安全」「ペット可」などこだわるニーズが多様化  購入者の意識について購入重視条件を見ると、最も多いのは「価格」で87.1%。次いで「最寄駅からの時間」(72.1%)、「住戸の広さ」(71.6%)、「通勤アクセスの良いエリア」(63.1%)の順だった。2000年1月からの3カ月ごとの推移を見ると、2001年7月〜9月は重視する割合がほとんどの項目で最も高くなっており、購入者の「こだわる条件」が増えてきていることがうかがえる。
 購入重視条件の割合を前年同期と比べると、「住戸の設備・仕様」が12.1ポイント増加している。このほか、「周辺環境の良いエリア」「耐久性・構造」「管理会社、管理内容、アフターサービス」など、ここでも購入者のこだわりを反映した項目の増加が目立つ。
 決め手となった物件スペックでは、「日当たりの良さ」「角部屋」「リビングの広さ」「収納スペースが多い」の上位4位の顔ぶれに変化はない。前年同期比で増加の割合が大きかった項目は、「セキュリティの充実」が7.5ポイントでトップ。ほかに「ランドプラン」「ペット可マンション」「将来の間取り変更・リフォームのしやすさ」などが上位に挙がるなど、"安全"に対するニーズや、特定層にとってのニーズが強まりつつあるようだ。

いわせてんか!
 当社のH君(独身)が、冬のボーナスで26万円出して32型デジタルハイビジョンテレビを買った。そんな彼は周囲から「何で一人暮らしのワンルームマンションにそんなでかいテレビを買うねん」などとけなされていた。かく言う私も、彼をけなした一人であるが、10年以上使っているテレビの写りが悪くなってきたので、とたんに自分もテレビが欲しくなってきた。独身のH君が26万の32型デジタルハイビジョンテレビならばDINKSの我々は5〜60万円のプラズマテレビくらい買ってもいいのかなと思ったのだが、置けるようなリビングのある部屋には住んでいないし、そもそも私の住んでいるボロ賃貸マンションにはBSアンテナ端子が付いていなかったのでやめることにした。しかし仮に私が60万円出してプラズマテレビを買っていたなら、周囲の反応はH君に対するのと同様冷淡なものであったことだろう。
 さて、私が買う対象がプラズマテレビではなく、新築マンションだったらどうだろう。少なくとも親は、プラズマテレビであったならば「何でそんなん買うん」という反応だろうが、新築マンションならば「援助してやろう」ということになるのかもしれない。
 上記記事のアンケート結果によると、実際に新築マンションを買うときに親から援助を受ける人の割合が30%強あり、その平均額は550万円前後であるらしい。耐久消費財であるテレビにたかだか数十万支出するのにはさんざん文句をいうのに、ある意味同じような耐久消費財といえる新築マンションには文句も言わず数百万ポンと援助してやるという団塊世代は多いのだろう。やはり「新築マンション」=「不動産」=「資産価値」とでも考えるのだろうか。先ほど「ある意味同じような耐久消費財」と書いたが、当HPでもたびたびお伝えしている通り、数十年後必ず生じるであろう、建て替えの問題は法整備にやっと着手したばかりの段階であるし、ローン以外にも毎月の管理費・修繕積立金が必要となる。それに自分の持ち家の筈なのになぜか支払わなくてはならない駐車場代まで考えると億劫になってくる。また、分譲マンションは鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造等の堅固構造である場合がほとんどであるが、コンクリートが完全に固まるまでに数年を要するために、新築マンションの場合、換気をしっかりしないと結露が生じたりカビの巣となる可能性もある。それにもし買ってしまって、隣や上下階におかしな人が住んでいたりしたら・・・。したがって私はこんなものに3,000万円近い借金を背負ってまで買う気はしないのである。
 そんな私であるが、冒頭のH君に酒の席で「ひねくれ者」と言われたことがあります。

 



 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成14年1月16日号・完―  
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