週刊アクセス
 
 
平成14年3月13日 第99号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
マンション一棟の価格とは
最有効使用の概念を複合不動産にも適用 −国交省、鑑定評価基準の改定で対応示す
りんくうのアウトレットモール「日本最大級に変身」
超高層マンション続々・都心、大規模、割安感
 
 
マンション一棟の価格とは
(日経 H14.03.06)
 
 法制審議会(法相の諮問機関)の区分所有法部会は5日、マンションの建て替えを促進するための区分所有法改正中間試案を決定した。建て替え条件の明確化と緩和が柱で、これまであいまいだった老朽化の条件をマンションの築年数で線引きし、具体的な年数は30年と40年の両論併記とした。法務省は今秋までに最終案を詰め、次期国会に改正案を提出する。
 マンション建て替えを進めるための条件はこれまで「老朽、損傷、一部の滅失」と定められているだけだった。試案は損傷と一部の滅失の基準も明確化し、マンション修繕費用が現在のマンションの価格を超えれば建て替えが進められるようにする案と建て替え費用の2分の1を超えれば可能とする案を併記した。

いわせてんか!
 後段の「マンション修繕費用が現在のマンションの価格を超えれば建て替えが進められるようにする案」について
 マンションの修繕費用は業者により見積もることが可能であろうが、マンションの価格というのは一体どのように査定するのであろうか?各専有部分の価格を算出し、合計した価格であろうか、それとも一棟の建物の価格とその敷地の価格の合計であろうか。いずれにせよ、これについても今後の研究の課題となるだろう。




     
     
最有効使用の概念を複合不動産にも適用
  −国交省、鑑定評価基準の改定で対応示す

  (不動産経済通信 H14.2.27号)  
   国土交通省は「不動産鑑定評価基準の改定骨子案」に対するパブリックコメントの結果を踏まえた対応策をまとめた。
 対応策は以下の4項目について。

  (1) 価格概念の明確化
  (2) 収益還元法の体系的整理
  (3) 対象不動産の属する市場や市場参加者の特性等に関する市場分析の重視
  (4) 経済的・法的・物理的な物件精査(デューデリジェンス)

 市場分析の重視については、「従前の地域分析との相違点を明確化するとともに、それを踏まえた市場分析の具体的着眼方法について、基準上明確化する」考え。価格概念の明確化に関しては、「最有効使用は土地についてのみの概念ではなく、複合不動産についても考えられることを明確にし、留意事項や解説などで説明する」との対応策を示した。

いわせてんか! 国土交通省が昨年H13.12.11発意した、『「不動産鑑定評価基準の改定骨子案」に関するパブリックコメント』の対応策として打出した論点は妥当である。
 特に、(1)価格概念の明確化と(3)市場分析の重視は、その理念的なバックボーンの変革であり、時代とともに移り変わる不動産の価値把握をより精緻なものにするために、欠くことのできない下地である。
 「買えば上がる」土地の価格なら、利用の仕方にはあまり注意が払われない。しかし、土地は「買えば下がる」資産となった今、これを利用することにより満足を得られなければ、誰も買わない。
 買う人の納得を得られる評価をするためには、そのひとの持つ価格概念を十分反映する必要があり、そのためには、そのひとが「何を考えているのか」、市場分析を通じて把握しなければならない。
 だが、不動産は“やはり”不動産たる特性を持っており、その他の財とは異なった市場を形成する。  「人」と「不動産」の間に、適正な価格が存在する。





りんくうのアウトレットモール「日本最大級に変身」
  (日経 平成14年3月8日)  
   チェルシージャパン(東京・千代田、加藤拓男社長)が運営するアウトレット(在庫処分)モール「りんくうプレミアム・アウトレット」(大阪府泉佐野市)が八日に四割増して開業する。店舗数119店舗の日本最大級のアウトレットモールになる。新たに40店が加わり、女性向けデザイナーズブランド「ジュンコシマダ」や玩具店の「バンダイ」など15店は初のアウトレット出店となる。

いわせてんか! 掘り出しものを探すのにはもってこいのりんくうのアウトレットモールが更に充実したことは非常に嬉しい。りんくうのアウトレットには大阪市内や府外から訪れる人も少なくなく、泉州では注目のスポットとなっている(行けば財布が寂しくなるが)。デートで海を眺め買い物をし…うーん車が欲しい。





超高層マンション続々・都心、大規模、割安感
(2002年3月6日 日経産業新聞)
 
 "100万ドルの夜景"を一望しながら暮らせます――。東京や大阪の中心部で20階建てを超す超高層マンションの開発が相次いでいる。ここ数年来の売れ筋マンションに欠かせない「都心」「大規模」の2大キーワードを兼ね備えているのが人気の秘密だ。都心・超高層といえば、高所得者向けの「億ション」というイメージが強かったが、この春商戦では割安感を前面に打ち出したファミリー向け物件が集客を競っている。
 東京・江東区東雲に建設される「W(ダブル)コンフォートタワーズ」は、この春に売りに出される超高層マンションの代表格。通勤とレジャーを両立できる交通利便性が売り物だ。
 3月中旬の発売に先立ちモデルルームを今月9日に開設したところ、10日間で約5000組が来場し、出足は好調だ。ここまでは人気の超高層マンションでは当たり前の風景だが、"異変"はその来場者層にある。
 需要層の「定番」だった50代以上の夫婦に交じって、「住宅を初めて購入する30代の1次取得者層やファミリー層が目につく」(三菱地所の販売担当者)。専有面積は58―195平方メートル、中心となる80平方メートル台が3700万円台と、都心超高層としては割安感が強いことが背景にある。
 超高層ブームは2000年秋に発売した東京・港区汐留の「東京ツインパークス」が発端となった。全1000戸の3分の1が1億円を超す「億ション」にもかかわらず、即日完売した。購入者で目立ったのは、高齢のリタイア層や株式公開で大金を手にしたインターネット系企業の社員。不動産経済研究所(東京・新宿)の角田勝司社長は「シルバー、シングルという『2つのS』が市場を下支えしている」と話す。そこに手ごろな価格のファミリー向けが加われば、ブームは一過性といえなくなる。
 なぜ超高層か。もともと物件の大規模化は最近のマンションの傾向。戸数が増えるほど、「キッズルーム」と呼ぶ子供の遊び場やラウンジルーム、植栽などの共用施設を充実させやすく購入希望者にアピールできる。そこに「都心回帰」の流れが加わる。土地が広く、安い郊外立地なら建物を横長にできるが、土地が狭く、高い都心で戸数を稼ぐには、建物を縦長にするしかない。
 超高層ブームは東京以外にも波及し始めている。住友不動産は大阪市中央区に西日本地区で最も高い50階建ての「シティータワー大阪」(全357戸)を着工した。完成予定は来年末。4月下旬に販売を始める方針で、中心となる住戸は70―85平方メートルで価格は4000万円台を想定する。近畿のマンションは神戸市などが人気だが同社は「大阪の都心回帰の起爆剤にしたい」と意気込む。
 ただ、超高層が次々と登場すれば、希少価値はそれだけ薄れる。三井不動産の小川修武常務は「ひと口に都心・超高層と言っても、電車の路線や最寄り駅からの近さなど、物件ごとの魅力で勝ち負けが出てくる」とみる。購入を検討する人にとっては、価格や設備内容などを超高層同士で比較検討することで、選択肢も広がってくるはずだ。

いわせてんか!
 当欄でもたびたびお伝えしている売れ行き好調な超高層マンションの話題である。
 当社から見える建設中の超高層マンション「ジーニス大阪」もほぼ最上階近くまで躯体が完成しその威容を現している。個人的には新築マンションなんか買いたくもないし、買えないのであるが、超高層の物件には機会があれば住んでみたいと思う。ただ、そのうち飽きると思うので2〜3年でいいのだが。
 大阪においても近年超高層物件の供給は増えつつある。ただし必ずしも超高層マンション=高級マンションではなく、中には安っぽいマンションをそのまま縦に延ばしただけのマンションもあるので購入を検討している人は要注意である。

 



 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成14年3月13日号・完―  
  戻る