週刊アクセス
 
 
平成14年5月22日 第109号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
国土交通省 宅地開発「推進」から「抑制」へ
梅田北ヤード再開発、事業主体探し難題
新税ブームに総務省 自治体へ"自重"促す
 
     
国土交通省 宅地開発「推進」から「抑制」へ
  (日経 H14.5.19)  
   国土交通省は2010年度までに新規の宅地需要が今の3分の2に減少し、大幅な供給過剰に陥るとの予測をまとめた。少子化で世帯数の伸びが鈍化、新たな宅地利用者が減ることなどが原因。地価のこれ以上の下落を防ぐため、同省は宅地開発の推進から抑制に住宅政策を転換。公的な住宅供給機関の廃止や開発支援策の見直しを進め、需給バランスを改善する。

 国交省は1980年代から5年ごとに、その期間中に人口増などで新たに発生する宅地の 需要面積と、開発によって発生する宅地供給面積の予測を作成している。

いわせてんか! 地価下落の抑制のために、国土交通省は宅地開発の推進から抑制へ政策転換ということである。地価下落の要因は様々な要因がからんでおり、単に開発抑制イコール地価下落抑制とはならないだろう。地域、場所によっては、今後も開発が必要なケースもある。需給バランス改善のため、地価下落抑制のためには、全国の不動産鑑定士を活用し、地域分析、市場分析が十分になされた政策が期待される。





梅田北ヤード再開発、事業主体探し難題
  (日経ネット関西 H14.05.17)  
   15年間こう着状態にあるJR大阪駅(大阪市北区)北側の梅田北ヤード地区の再開発構想を進めようという声が高まっている。関西財界から提言が相次ぎ、大阪市なども国の都市再生プロジェクトの有力候補と期待する。ただ、面積20ヘクタールと広く土地取得に約1000億円かかる点が負担になり、肝心の開発主体がまだ出て来ない。
 JR梅田貨物駅がある同地区は旧国鉄時代の累積債務返済のため、1987年に当時の国鉄清算事業団が駅機能移転と跡地など約22ヘクタールを売却する計画をまとめた。ヨドバシカメラが約2ヘクタールを取得した以外、売却先は決まっていない。
 16日、関西経済同友会の篠崎由紀子大阪活性化委員長らが大阪市役所を訪れ、4月末にまとめた提言書を磯村隆文市長に手渡した。「関西の玄関口だけに切り売りは回避してほしい」と篠崎委員長は強調する。
 提言では再開発地域を一体的に開発するため、大阪市に市長直轄の都市再生本部の設置を要望。市が日本鉄道建設公団から土地の所有権移転を受けることが一体的開発の前提だと主張する。ただ「市税による買い上げは考えていない」(篠崎委員長)として、個人向け公募地方債発行による資金調達なども提案した。
 関西情報・産業活性化センター(川上哲郎会長)も4月、同地区に展示場やベンチャー企業育成施設などを設ける再開発案を公表した。いずれの提言も同地区再開発が関西経済再生の起爆剤となるよう期待している。

いわせてんか! ヨドバシカメラの進出でイメージを変えた梅田北地区であるが、事業主体の誘致がうまくいけば新たな発展を遂げることができるであろう。切り売りすれば優れた立地性を求めて市場参入者が増加するであろうが、せっかくの一等地である。費用性、市場性、収益性を十分に検討し、早期に再開発を行ってほしいものである。





新税ブームに総務省 自治体へ"自重"促す
(税務情報 H14.5 No.4 (株)エヌピー通信社・製作)
 
 「新税ラッシュ」といってよいほど、全国的な広がりをみせている各自治体による法定外課税。だが、その根拠や導入方法などが問題視されるケースも多く、本紙でも安易に独自課税の導入を図る風潮に疑問を呈してきた。

 こうしたなか、総務省が各自治体による新税の乱発に対し、ついに「待った」をかけた。これは、同省自治税務局から各都道府県の税務担当部局長に文書で、「法定外税の創設に際して、それ以外により適切な手段がないかなど、慎重かつ十分な検討が行われることが望ましい」と通知したもの。

 同省では、「通知したのは参考文書で、強制力はない」としているが、このような地方自治体による法定外課税については、同省による「同意」が必要となるため、今回の通知はまさに"雨後のタケノコ"となっている現在の状況に一石を投じるものとなりそうだ。

 地方の時代といわれるなかで、なかには課税理由が疑問視されるような"珍税"や"奇税"も続々と検討されている。このため、「税を課すにはそれなりの因果関係と根拠が必要。租税制度は国の根幹であり、行政サイドでは確固たる根拠を示す義務がある」(弁護士)といった声が識者の間からも出ていた。

いわせてんか!
 地方自治体の基幹税たる「固定資産税」。1.4%の固定税率かと思えば、実は自治体の裁量により、税率を変えることができることをご存知だろうか?

 固定資産税の税額は、原則、市町村長の決定した不動産などの評価額に税率を乗じることで算出される。税は当然当該自治体の主要な財源であり、必要額を得られないと、したいこともできない。
 従来、固定資産税の評価額は低く押さえられていて、適正課税がなされていないとの批判から、平成6年以降地価公示価格の7割をメドに評価の引き上げが行われ、現在もその調整過程にある。一方、自治体の歳出はそれぞれであり、本来、自治体ごとに内容も総額も異なっているものだ。ならば、歳出にあわせて税収をコントロールする機能を持ち合わせておく必要がある。それを固定資産税(地方税法)はもっているのである。
 しかし・・・。
 法定外課税(ここで法とは主に地方税法をさす)が“東京都の反乱(?)”以降流行っているのも、もともとは地方税法が実効性をもちきれていないためだ。必要な税額を徴収すべく地方議会で決定し、これを直接市民に問うべきである。評価の適正性も、妥当な税率決定も、自治体自身が担う必要がある。もちろん、根拠は必要だ。

 
 
 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成14年5月22日号・完―  
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