週刊アクセス
 
 
平成15年4月2日 第152号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
バブル期マンション購入者は買い換え困難 東日本レインズ調べ
東大阪ブランドを認定──市と地元企業、技術力PRへ制度
    東証、REIT指数公表へ
第2回環境首都コンテスト結果発表
“今が買い時”ということ
 
     
バブル期マンション購入者は買い換え困難 東日本レインズ調べ
  (Housing TIMES H15.3.28)  
   東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ、藤田和夫理事長)は3月28日、マンション購入者の資産デフレの状況を把握し、年収や貯蓄、住宅ローンの借り入れ条件などを加味した買い換え難易度を推計した「首都圏マンション買い換え難易度」を発表した。それによると、バブル経済期にマンションを購入者を中心に資産デフレの影響から、買い換えが困難となっている、としている。
 資産デフレの状況を推計した売却損益額は、1988〜1997年の10年間にマンションを購入した場合は500万円以上の売却損があり、1988〜1992年の平均売却損額は2066万円だった。最も売却損が生じるのは、1990年購入者で2692万円だった。一方、買い換え層で売却益を生じるのは1986年以前(築16年以上)の購入者となっている。
 また、返済可能額と買い換える物件の住宅ローン額を比較した買い換え難易度を見ると、1988〜1997年は売却損が生じるために100を切り、ゆとりある買い換えができないという結果となった。特に1989〜1992年は厳しく、75を下回り買い換え自体が困難となっている。1987年以前は100を超え、低価格で購入した1998年以降も100を超えるという結果となった。買い換え難易度は100以上の場合、一定のゆとりを持って買い換え住宅の住宅ローン返済(年収の25%以内の支払いで)ができ、75を下回る(支払いが年収の3分の1を超える)と住宅ローンの借入自体が困難になってくるとしている。

いわせてんか! 引っ越しをした。引っ越し先は北摂某所の分譲マンション。
 ・・・といっても分譲マンションを買ったわけではなく、転勤者物件を借りたのである。平成7年(1995年)築、専有面積は73m2で間取りは3LDK、まあ、標準的な分譲マンションである。興味があったので、当時の分譲価格を調べてみると、最多分譲価格帯が4,500万円、平均坪単価が約230万円であったので私の借りた部屋は5,000万円強したことになる。
 以前住んでいたのが大阪市内の雑然とした場所にある42m2のボロ賃貸マンションなので、これと比べれば相当マシということにはなるのだが、思うことは、このマンションの為に一生を費やすのはちょっと寂しいなということである。私の借りた部屋は専有部分と共用廊下との間に吹き抜けのスペースがあるタイプでバスにも小窓が確保されそこそこ工夫されているのであるが、他の部屋の多くのタイプは、玄関ドアも洋室の窓も直接共用廊下に面しており、エアコンの室外機が共用廊下に置いてある始末で、巷間いわれる“羊羹切り・田の字型”の典型的な「売れない」マンションである。この程度のマンションを4,000万〜5,000万円で購入し、一生ローンの支払いに追われていくのははっきりいって不幸である。
 バブル経済のピークである昭和の終わりから平成の始めにかけて購入した人はもっと大変で、最も不幸である。資産たるマンションの価値自体はすっかり目減りしているのに、ローンの残高はあまり減っていないどころか購入後10年を経過してゆとり償還の期間が終わり、月々の支払い額が今までの倍なんていうケースはざらにある。

 そして、この頃にマンションを購入した人の多くが、現在40代から50代の日本経済を引っ張る世代である。
 この世代はビジネスの現場において判断を要するような責任あるポジションにあることが多いだろう。仮にこの世代の多くが『失うものは何もない!どんどん現状を打破しよう!』というような発想になれば、もうちょっとこの国の景気も上向くと思うのだが、多額の借金を抱え、住宅ローンを払えなくなるからリストラが怖いという状況では、大胆な発想が出来るわけはなく、現状維持的な発想がせいぜいだろう。以前「35年ローンは人間ブロイラー化のはじまり?」というトピックを掲載したが、経済を動かす世代の多くが飼い慣らされたブロイラーである状況では、まだまだ景気は上向きそうにない。





東大阪ブランドを認定──市と地元企業、技術力PRへ制度
  (日経ネット関西版 H15.3.13)  
   大阪府東大阪市は地元企業、業界団体などと共同で、市内企業による優れた製品・部品を「東大阪ブランド」として認定し地域産業振興につなげる新事業を開始する。推進母体をこのほど発足、3月下旬に認定製品・部品を一堂に集めた展示会も開く。各企業の製品の高い技術力をアピールし、“中小企業の街・東大阪”の新しいイメージアップを目指す。
 推進母体の「東大阪ブランド推進機構」は同市、東大阪商工会議所、商店会連合会、小売市場連合会、工業協会、中小企業振興会などで構成、暫定理事長には東大阪商議所の今谷喜洋専務理事が就任した。同機構は東大阪ブランドを認定し、冊子制作やホームページ開設などを通じて普及と定着に取り組む。
 認定基準は全国でその企業だけが製造または販売する「オンリーワン製品」、ニッチ(すき間)でも特定市場で販売数量や販売額が第1位の「ナンバーワン製品」、国内で初めて独自の付加機能や付加価値を持たせた「プラス・アルファ製品」。これまでに55社約140製品を認定対象に選んだ。
 認定企業は東大阪市とシンボルマークの使用契約を結び、製品にマークを付けて販売できる。現在までに「42社の95製品が契約する意向」(東大阪市)という。
 ブランド認定製品を展示する「東大阪ブランド展」は28―29日にWTCコスモタワー(大阪市住之江区)で開催する。入場料は無料。
 東大阪は優れた加工技術を持つ中小企業の集積地として有名。だが、景気低迷と大手企業の工場海外移転などで受注が減少、苦しい経営を強いられるところが多い。
 下請けにとどまらず、最終製品を手掛けるメーカーも増えているが、販売力や知名度の点で苦戦中。こうした現状を打ち破るため、東大阪ブランドを確立することで新しい販路開拓と消費者への認知度向上の相乗効果を狙う。

いわせてんか! 大手企業の工場が海外に移転し、アジア諸国において製品開発や部品生産も含めた一貫生産体制を構築するにつれて、部品等を製造する中小企業もアジア諸国へと立地展開していくことにより、地域産業全体が空洞化していくことが懸念されている。それに対抗するためには、アジア諸国では急速な産業発展が行われているが、それでも依然、アジア諸国よりも進んでいると言われる、特に日本の都市における産業活動の集積が十分生かされる必要があり、そのためには、個別の企業における差別化と同じように、その「集積」での差別化が必要で、例えば、全てがITに向かうような状況では、その集積の利益が生かされないという意見がある。
 東大阪では、「歯ブラシ」から「ロケット」までと言われるように、多種多様な製品が製造されている。今回の東大阪ブランド推進機構によっても、さまざまな製品が認定されている。東大阪製品の特徴として、その他に、その製品市場におけるシェアの高さなどがあげられている。そういった東大阪地域特有の「集積」が十分生かされることが期待される。





東証、REIT指数公表へ
  (日経 H15.3.25)  
   東京証券取引所は24日、東証に上場する不動産投資信託の値動きを示す指数を4月1日から公表すると発表した。名称は「東証REIT指数」で上場全銘柄(現在は6銘柄)を対象に時価総額加重平均方式で算出。3月31日が基準日で1,000ポイントを基準値とする
 東証のホームページに終値ベースで1日1回公表する。法人、個人など投資部門別の月間売買状況も4月分から公表する。初回は5月15日をめどにホームページに掲載する

いわせてんか! デフレ克服に向けた金融政策として、日銀によるETF(株価指数連動型の上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の購入による量的緩和等が議論されている。個別の株式や土地ではなく、ETFやREITの購入であれば市場をゆがめるリスクは小さいとの見方もある。しかし、REITはまだまだ市場規模も小さく、特定の優良な投資物件を中心に構成されていることを考えると、それら一部の不動産のみに公的な資金が入ることには公平の観点から問題が残る。また、REITの時価総額は現在4,000億円程度であり、日銀による国債買いオペ額月間1兆2000億円(国債発行残高は現在500兆円弱)と対比してあまりに小さく、日銀の動向次第で値動きが激しくなる可能性がある
 ともあれ、今後、不動産投信市場が発展していくためには、何よりも適切な情報開示が不可欠である。その意味で、この「東証REIT指数」により公表データが増えることで、投資家がREITに投資しやすい環境が整備されることを期待する





第2回環境首都コンテスト結果発表
  (日経 H15.4.1)  
   環境分野の非営利団体(NPO)10団体主催による上記コンテストの結果が発表され、総合順位で福岡市が一位に選出された。 第2回環境首都コンテストの中で明らかになった、参加自治体の特に優れた取り組み、ユニークな取り組みを表彰する「先進事例特別表彰」に選ばれた事例は以下の通り。(順不同)

ニセコ町(北海道)
情報管理と住民との情報共有 

東和町(岩手県)
保育所・幼稚園における環境教育の推進 

仙台市(宮城県)
市民のアイデアを市からの委託事業にする「環境社会実験」 

仙台市(宮城県)
いい音残創(のこそう)事業 

長井市(山形県)
地産地消でまちづくり「レインボープラン」 

志木市(埼玉県)
公共事業市民選択権保有条例 

志木市(埼玉県)
志木市自然保全再生計画 

三鷹市(東京都)
パートナーシップ協定 

三鷹市(東京都)
緑と水の回遊ルート整備計画「緑と水の交響曲(シンフォニー)」 

三鷹市(東京都)
満天の星空を取り戻す「三鷹市光害防止指導指針」 

日野市(東京都)
日野市緑地信託制度 

横須賀市(神奈川県)
全国に先駆けて環境会計を導入 

藤沢市(神奈川県)
市民提案システム くらしまちづくり会議 

飯田市(長野県)
飯田市のISO14001自己適合宣言! 

飯田市(長野県)
10年来の住民参画で実現した「かざこし子どもの森公園」 

多治見市(岐阜県)
環境基本計画を全庁的に進める政策形成ヒアリング 

多治見市(岐阜県)
地域住民参加の学校作りで雨水利用と緑化 

揖斐川町(岐阜県)
全員公募のまちづくり住民会議 

安城市(愛知県)
エコクッキング/男の料理からエコグルメへ 

水口町(滋賀県)
総合計画の環境関連施策のEMSによる管理と環境報告書 

水口町(滋賀県)
「私たちのまちは、私たちが創る」水口町総合計画 

愛東町(滋賀県)
地域環境行動計画策定事業 

姫路市(兵庫県)
市街地における自動車交通量の抑制対策 

上勝町(徳島県)
ごみ収集車の走らない町 

上勝町(徳島県)
廃校をレンタルしてまちづくり 

福岡市(福岡県)
福岡市DNA計画 

長崎市(長崎県)
長崎市乗合タクシー 

八代市(熊本県)
市独自の環境保全型農業推進方針策定 

水俣市(熊本県)
環境にいい旅館・ホテルづくり「旅館・ホテル版ISO」 

水俣市(熊本県)
村丸ごと生活博物館構想 

水俣市(熊本県)
地区環境協定制度 

水俣市(熊本県)
環境のまちづくりと一体化した中心市街地活性化基本計画

いわせてんか! 近畿の参加自治体は少ないようだ。
 私たちは日頃業務上「環境要因」という言葉を用いるが、どこまでの範囲を指すのだろう?「環境」という言葉自体広がりと可能性があり、「環境要因」について柔軟に考える必要があると感ずる。





“今が買い時”ということ
   
   山川ノブオ氏「プロがそっと教える不動産の秘密」の一節。
 不景気で不動産の供給がどんどん増加するので、地価は下がる。だから“価格が安いから”という理由では購入しないほうがいいとしたあとで、
『それでは、私は価格じゃないという人はどんな人か。
家族構成の変化で、住まいを求める人
安定した収入が見込める人
現在所有の不動産価値に不安があり、もっと安全かつ価値の落ちにくい不動産に買い換えたい人
貸家・社宅に不満がある人
 こんな人には、さあ、モデルハウス巡りから始めましょう。』

いわせてんか! “買い”の条件を4つ列記されている。
 しかし、私としてはこれを1つと3つに分けたい。
 2番目の「安定した収入」は別立てでしたい。あとの3つはすべて購入者の“希望”だからである。子供が増えたからといって、買い換えたいからといって、不満があるからといって、先立つものがなければどうにもならない。これが“有効需要”である。
 価格と満足(希望)が融合する点が“買い時”であると思う。

 希望を高くするなら収入を高めればいいというのは、耳の痛い話である。









 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成15年4月2日号・完―  
  戻る