週刊アクセス
 
 
平成15年9月17日 第176号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
料亭「南地大和屋」10月から休業──大阪・ミナミの老舗
住宅金融公庫金利0.4%上げ2.7%に
国交省、贈与税の住宅取得資金特例に関するアンケートを実施
時代に即応した鑑定実務の情報提供
 
     
料亭「南地大和屋」10月から休業──大阪・ミナミの老舗
  (日経ネット関西版 H15.8.29)  
   日本料理店経営の南地大和屋(大阪市、人見きく子社長)は28日、大阪・ミナミの老舗料亭「南地大和屋」を10月5日の営業を最後に休業すると発表した。作家の故・司馬遼太郎さんら関西の文化人や財界人も通った名門料亭だが、立地する宗右衛門町の雰囲気の変化や経済低迷のあおりで売り上げが減少、営業継続を断念した。
 阪口純久(きく)の名前でおかみも務める人見社長が、大阪市内で記者会見し明らかにした。能舞台や茶室を備えた店舗は年内にも飲食店に賃貸する。当面は東京と大阪に5店舗を持つ日本料理店「大和屋三玄」の運営に専念し、2―3年後をめどに大阪市内で新たな料亭を開きたい考え。
 「南地大和屋」は1877年(明治10年)、芸妓(げいぎ)置屋として創業した。120年を超える歴史を持ち、上方文化を継承する料亭として常連客も多かった。企業接待の利用減少などに伴い、直近の売り上げはバブル期の6割程度に落ち込んでいた。

いわせてんか! 京都の祇園町(同市東山区)のメーンストリート「花見小路」界隈では、テレクラやカラオケボックスなど風俗店の出店を禁止する地区計画が最近決定された。また、大阪では、御堂筋沿いの空室となったオフィスビルに風俗店が進出しないよう地区計画が平成13年に策定されている。どこにでもある繁華街に成り下がることを防ごうということであろう。
 「南地大和屋」の宗右衛門町からの撤退の理由として、かつての料亭街の雰囲気が失われ、客足が遠のいた点があげられているが、同地区が風俗店などの進出により、どこにでもある繁華街と変わらなくなっていることを示しているようだ。





住宅金融公庫金利0.4%上げ2.7%に
  (H15.9.12 日経)  
   国土交通省は11日、住宅金融公庫の貸出基準金利を18日から現在の年2.3%から0.4%引き上げ、2.7%にすると発表した。長期金利の上昇が主因で、基準金利は今月2日に2.0%から0.3%引き上げたばかりだった。基準金利は返済開始後10年目までの金利で、それ以降の金利は3.5%で据え置く。2.7%の基準金利は昨年4月と同水準。
 住宅公庫によると、2000万円を35年の元利均等返済で借りた場合、基準金利が2.3%なら総返済額は3208万円。2.7%に上がると総返済額は87万円高い3295万円に増える。通年で受け付けているリフォーム用融資などは18日から新しい基準金利を適用。年数回に分けて受け付けているマイホーム新築、マンション購入、建売住宅購入の新築3融資は次回募集期間(9月22日から11月10日まで)から適用する。新築3融資の次回募集期間中である11月10日までに住宅公庫の原資となる財政投融資資金の金利(財投金利)が上がっても、期間中の基準金利は2.7%で据え置く見通し。

いわせてんか! 不動産経済研究所が16日発表した8月のマンション市場動向調査によると、首都圏の新 築マンション発売戸数は前年同月比16.5%増の5493戸で契約戸数は4485戸、近畿圏は前 年同月比17.2%増の1772戸、契約戸数は1266戸となった。 このように、低迷していた住宅販売に回復の兆しが出始めているが、住宅ローン金利の 上昇を意識した駆け込み需要が一因であり、その反動による販売減が懸念される。一方で、 日経平均株価が順調に推移するなど、日本の景況感は改善されてきており、冷え込んでい た個人の住宅購入マインドにも、改善のきざしが出てきたのではないだろうか。 しかしながら、あまりに急激な金利上昇は、せっかく上向きかけた購入意欲を再び冷え 込ませかねず、今後の動向を注視していきたい。





国交省、贈与税の住宅取得資金特例に関するアンケートを実施
  (R.E.port 2003.9.9)  
   国土交通省は9日、贈与税の住宅取得資金特例について実施したアンケート調査の結果をまとめ、公表した。
 平成15年度税制改正において、新たに導入された相続時精算課税制度のもと、3年間の時限措置として、住宅取得等のための資金の贈与を受ける場合に3,500万円までを非課税とする等の特例が設定された。
 そこで同省では今般、同特例に対する消費者の知名度および活用状況等を把握するとともに、同特例のPRを図るべく、全国23都道府県65ヵ所の住宅展示場においてアンケート調査を実施。2,966件の有効回答を得た。
 これによると、贈与税の新たな住宅取得資金特例について、回答者の約3分の2が認知しているという結果であった。
 住宅購入にあたり贈与の予定がある人は約3分の1程度で、このうちの約3分の1が、新たな特例が住宅購入の意志決定に影響を与えたと回答。住宅取得資金の贈与そのものについても、「贈与を受けることにした」「今後の贈与について検討したい」などの影響を与えている。
 受贈予定額については、従来の非課税枠(550万円)を超える贈与が約3分の2にのぼった。平均受贈予定額は1,102万円。また贈与者が父母の場合には、そのうちの半数近くが65歳以上の父母からの贈与であった。
 新たな特例措置の利用予定については、「今後よく検討したい」との回答が47%と最も多かったものの、「新しい特例(3,500万円まで非課税)を利用したい」が40%と「従来の特例(550万円まで非課税)を利用したい」(12%)との回答を大きく上回っており、新たな特例の活用志向が高いことがわかった。

いわせてんか! 住宅資金特例は、高齢者から若い世代へ住宅資金を円滑に移転し、投資を拡大して厳しいデフレ状況の解消を図るために設けられた。
 個人的には「お金持ちの親がかりで家を建てましょうということか」とちょっと妙に思ったりもする。
 とはいえ、若い世代が独力で住宅を取得するのは難しいこのご時世、子はもちろん裕福な親世代にも歓迎されているこの特例である。
 今回の発表では特例に対する認知度は高いとされている。しかし、住宅展示場来訪者の3分の1はこの特例を知らないということだ。また、特例による贈与への影響についての質問では「今回知ったことで今後検討したい」との回答が4割あった。まだまだ特例を知らない人がたくさんいるという事実に着目すべきではないだろうか。
 「子供が家買うのをたすけてやりたい親はたくさんいるんやから、もっと上手にPRせなあかん。」とある不動産業者さんは仰っていた。周知の工夫を図ってほしい。





時代に即応した鑑定実務の情報提供
  (社)日本不動産鑑定協会ホームページ 「資料・プレスリリース」  
   研究論文一覧

 平成15年度研究論文選考結果発表

 本会会員を対象とし、「不動産鑑定評価の理論と実務に関する研究」「不動産鑑定評価に関連する業務(不動産カウンセリング業務等)の理論と実務に関する研究」「不動産に関する理論的、実証的研究」を研究テーマとして募集した論文の中から、「奨励賞」として選ばれた2篇を掲載します(掲載は応募順)。

 (PDF形式)
  J-REITにおけるオフィスビルの利回りに関する一考察−利回り及び個別の利回りに影響を与える要因−
  中本 欽也 (株)全国不動産鑑定士ネットワーク大阪支社
格付機関評価と鑑定評価
  小林  亨 三菱信託銀行(株)不動産コンサルティング部

いわせてんか! 専門家集団には、時代々々に即応したその専門情報を提供する責務がある。
 同様にその情報は、利用するあらゆる人々にわかるように説明できていなくてはならない。そのことが引いてはその専門家の認知度や信頼性を高めてゆくことになる。
 鑑定士の業界団体の長たる「(社)日本不動産鑑定協会」はその先頭を行くべく、ホームページ等で情報提供活動を行っている。上記「資料・プレスリリース」もその一環であり、今回は業界内の応募論文の入賞作品を公開した。いずれも昨今話題の証券化に関わる疑問点に応えるものであり、時宜を得ている。
 おりしも、9/10には「東急リアル・エステート投資法人」が上場、9/25には「グローバル・ワン不動産投資法人」が上場予定である。不動産価値評価の専門家としてのさらなる提供が期待されるところである。
 ちなみにREIT関連情報は、以下のサイトで。

  東京証券取引所・REIT (不動産投資信託証券)









 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成15年9月17日号・完―  
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