週刊アクセス
 
 
平成15年10月8日 第179号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
キタにらみ 巻き返し 「なんばパークス」7日開業
近畿の失業率、8月は横ばい6.0%──「改善傾向出てきた」
大阪のオフィス賃料事情 〜オーナー自ら減額が3割も!
 
     
キタにらみ 巻き返し 「なんばパークス」7日開業
  (朝日 H15.10.2)  
   大阪・ミナミの旧大阪球場跡地に、大型複合施設「なんばパークス」が7日に開業する。南海電鉄難波駅前に地上30階建てのオフィスビルが建ち、国内最大級の屋上庭園をもつ8階建て商業施設が並ぶ。大阪のキタとミナミの集客争いでは、JR大阪駅、阪急・阪神梅田駅周辺に家電量販や映画館併設の大型小売店が出店し、「おしゃれ」に変身する中、ミナミは遅れ気味だった。ミナミが地盤の南海電鉄などは、この施設で巻き返しを図る。
 「ミナミの新しい名所」と地元経営者らが期待するなんばパークスは、約8,000平方メートルの屋上庭園が自慢。来店客にゆっくり「散策」を楽しんでもらう狙いで、うたい文句は「複合緑化都市」だ。空から見ると、段々畑のように、緑の屋上が広がる。市民向け貸菜園27区画を併設し、ここには約1,000件の応募があった。
 ファッション専門店や飲食店が約100店。全国のご当地麺などが味わえるテーマパーク「浪花麺だらけ」をつくり、音楽・照明はアーティスト葉加瀬太郎さんに委嘱。都心で学べる大阪府立大のサテライト教室を誘致した。
 ミナミは、心斎橋の「そごう」が店を閉め、電気街の日本橋も量販店のマツヤデンキ、和光電気などが相次ぎ経営破綻するなど、いいニュースは少なかった。
 南海難波駅の昨年の乗降客は1日平均約29万人。ピークの86年(約42万人)より3割減った。沿線人口の減少のほか、地下鉄堺筋線と接続する天下茶屋駅で乗り降りし、難波まで来なくなったという。
 2日朝、記者会見した山中諄(まこと)・南海電鉄社長は「パークスは、難波の新しいメルクマール(目印)として街の発展をリードできると思う。キタとミナミが互いに刺激しあうことで、大阪がさらに発展すれば」と述べた。

 −入居する主な店や施設−
【1階】
 パークスラジオパラダイスMBS(スタジオ)
MAOZI(マオズ)(帽子)
【2階】
 ブルックスブラザース(洋服)
 ヒットマン大阪(輸入くつ)
 サマンサタバサニューヨーク(かばん)
 F.O.B COOP&CAFE(インテリア雑貨・喫茶)
 ミキモトブティック(宝飾・雑貨)
 コムサイズム(洋服・雑貨)
 俄(にわか)(宝飾)
【3階】
 15ミニッツビューズ(メークスタジオ)
 スビート(下着)
【4階】
 アルマーニ・ジーンズ(洋服)
 SHIPSブルーラボ(洋服)
 GUESS(洋服)
【5階】
 ボダムショップ(生活雑貨)
 ローラアシュレイ(洋服・雑貨)
【6階】
 トゥ ザ ハーブス(ピザ・パスタ)
 竹麓輔商店(ラーメン)
【7階】
 浪花麺だらけ(フードテーマパーク)
【8階】
 スッド・ポンテベッキオ(イタリア料理)

いわせてんか! 商業施設の核店舗の候補として当初は、手芸用品大手「ユザワヤ」が1万1000平方メートルの大型店を計画したが、2001年に計画を撤回。後釜に手を挙げたライブハウスの「ビルボード・ライブ大阪」も2003年春に、一転して取りやめたなど店舗の顔触れが決まるまでには曲折があったが、商業施設はすでに100%の入居率。一方、オフィスは8割程度の入居率で止まっており、もうしばらく難航しそうだ。
 ミナミでは、新橋交差点周辺や南堀江など一部明るさの見られるところもあるが、全般的には、記事にあるようにキタに比べ暗いイメージが強い。
 なんばパークスはミナミの巻き返しと、難波駅の乗降客数の増加による南海電鉄再興が期待されているが、1期の結果が2期・3期の計画にも影響を与えると考えられ、特に、1期である今回の開業後の動向が注目される。





近畿の失業率、8月は横ばい6.0%──「改善傾向出てきた」
  (NIKKEI NET関西版15.9.30)  
   総務省が30日発表した近畿2府4県の8月の完全失業率(原数値)は前年同月比1.1ポイント低下の6.0%となり、3カ月連続の6%台となった。就業先がなく仕事を探す完全失業者は63万人で同12万人減。同省は「企業の人員削減が一段落し雇用情勢に改善傾向が出てきた」とみる。
 7月の完全失業率は8月と同じ6.0%だった。年度末で仕事探しをする人が増えた今年2月から4カ月連続で7%台が続いたのに比べ、失業率は下がっている。ただ前年割れが続いた就業者数は8月も前年同月比5万人減の980万人。仕事探しをあきらめた人が増え、非労働力人口が同20万人増の749万人にはねあがり、これらの人が求職活動をすれば失業率が改善しなかった。厚生労働省が同日発表した求職者に対する求人数の割合を示す有効求人倍率(季節調整値)は8月で前月比0.01ポイント上昇の0.56倍。大阪労働局は「派遣やパートなどが多いとはいえ、求人は改善傾向にある」と分析している。

いわせてんか! 仕事探しを諦めた人が増えた状況で「改善傾向」と言い切れるのか・・?さらに若年雇用環境の厳しい現実がある。全国の8月の完全失業率は5.1%、このうち24歳以下は10.0%。近畿のみの8月の24歳以下のデータはないものの、4―6月が12.9%だったことから8月も10%超で推移しているとみられる。

 関西の各種景気データの中には好調を示すものもある。輸出が堅調、素材在庫調整が進んでおり、設備投資にも緩やかながら持ち直しの気運が感じられ、企業マインドも好転しつつある。阪神タイガースのリーグ優勝は消費者マインドにも影響を与えた。だが、足下の実体経済はまだまだ厳しい。





大阪のオフィス賃料事情
       〜オーナー自ら減額が3割も!
  (生駒データ“OJ-Net"OJ2003夏号)  
   2002年 オフィス市場動向調査
賃料改定(OJ2003夏)
  2002年に入り、悪化の度合いを強めたオフィス市況。 東京や札幌など、2003年の大量供給をにらんでの賃料改定となった都市も少なくない。 果たして全国の賃料改定は、何の影響によりどのように行われているのか。 今号では、(株)生駒データサービスシステムが、賃貸ビルオーナーを対象に実施した、 賃料改定に関するアンケート結果をもとに、2002年に行われた賃料改定の傾向について考 察する。

(大阪)
改定状況は「減額」が中心
   大阪では、ここ5年間、毎年減額改定の割合が増えている。特に問題なのが「10%以上の減額」という大幅な減額の割合が大きく増加していること。2002年には全体の30%以上を占めるに至っている。増額はもちろん、小幅な減額改定も少数で、極端な言い方をすれば、大阪の賃料改定は「据置か、それでなければ大幅減額か」といった状況になりつつある。
 減額改定の割合は古いビルほど高く、1970年以前に竣工したビルでは約6割に達している。また、ごく少数の増額改定事例は、すべてがリニューアル済みのビルであった。今のところ、規模による傾向の違いは見られないが、古いビルや設備水準の劣ったビルは、確実に減額改定のターゲットになっていると言える。
オーナーからの提示は約3割
   減額改定の経緯で最も多いのは、東京同様テナントからの要求によるもの。しかし、目を引くのは約3割をも占める「オーナーからの減額提示」だろう。市況は悪化し続け、テナント誘致も困難。そのため、賃料改定には自ら大幅な減額を提示し、何とかテナントを引きとめようとする、なりふりかまわぬ現状がうかがわれる。

いわせてんか! 巷で聞く話とほぼ同様のものだ。「かなり苦労している」と聞く。
 同記事の中のテナントサイドからみた減額改定要求の理由は「周辺相場に合わせる」というものが多くて、募集賃料の下落傾向や、実際“次”を探している間の仲介業者や他ビルオーナーの提示額を見れば、“相場を見極める”理論武装が長けてきているのも確かだろう。その意味で、あてどなき賃料下落は「オフィス賃料市場の効率性」を増加させているといえる。
 設備の修繕・更新・改善も、一義的には“とどめる”ために行われているようで、それで賃料を増額できる状態ではない。確かに出費するにはそれなりの切羽詰り加減があってのことで、当たり前といえばそうであろう。
 一方、立地や集積度などで、賃料が“合理的”であれば(建物はあまり気にせず)入りたいという“地域”はあるわけで、値付けの妙が問われる。オーナーとしては、自らの客観的状況を見極めることが先決のようだ。









 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成15年10月8日号・完―  
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