週刊アクセス
 
 
平成15年10月22日 第181号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
土日も淀屋橋 遊べる街へ「丸の内化」計画
住団連、「2002年度戸建注文住宅の顧客実態調査結果」を発表
H15.10.21最高裁の2判決 「サブリース」賃料、減額請求は可能
 
     
土日も淀屋橋 遊べる街へ「丸の内化」計画
  (朝日新聞 H15.9.30)  
   大企業の本社が軒を連ねる大阪・淀屋橋のオフィス地区に、おしゃれなレストランやブランド店を誘致し、夜や休日も人が集まる人気エリアに生まれ変わらせる計画が進んでいる。東京・丸の内での再生策をお手本にしたもので、仕掛けるのは住友商事を中心とした地区内のビルのオーナー企業。不況でオフィス需要が減るなか、街に「遊び」「高級感」といった価値を加え、オフィス街間競争に生き残ろうという狙いだ。

 計画が進むのは、住友商事や三井住友銀行、大阪ガスなど大手企業がオフィスを構える大阪市営地下鉄・淀屋橋駅の西側約20ヘクタール。平日の日中はビジネスマンであふれるが、夜間や休日はほとんど人通りがなく、「仕事で用事のある人しか来ない『遊び』のないエリア」(住商大阪不動産事業部)だ。
 オフィス仲介の生駒データサービスシステムによると、大阪地区のオフィスビルの空室率は前年比1.0ポイント増の11.0%(03年6月時点)。東京の6.6%や名古屋の8.7%と比べて厳しく、賃貸料の減少も続く。淀屋橋周辺は古いオフィスビルも多く、梅田など他のオフィス街との競争が激化している。
 そこで、淀屋橋西側地区に、延床面積約15万m2分のビルをグループで所有する住商が主体になり、都市再生を計画。第1段階として5月、自社ビル1階にスペイン料理や創作料理などの人気店3店を同時開店し、地区全体を「淀屋橋WEST」としてPRを始めた。年内に中華料理店と欧州レストランも開店させる予定だ。
 まず、しゃれた飲食店を多数配置して人の流れを作り、ブランドショップや高級ブティック、専門店の進出につなげる考え。ホテルやマンションを誘致する構想もあり、街の魅力を高めて賃料の維持につなげる狙いだ。
 こうした再開発にはモデルがある。東京のオフィス1等地、丸の内だ。周辺のビル100棟中30棟を所有する三菱地所は約5年前から、銀行統合などで空いたビルの1階に有名ブランド店を次々と誘致。約40店を集積させたほか、石畳の街路整備や街を紹介する雑誌の配布などを進め、集大成として昨年、丸ビルを開業した。古いオフィス街のイメージが一新され、「周辺の賃料は今でも日本一だが、ほぼ満室」(三菱地所)という。
 淀屋橋地区では、住商と街づくりコンサルタント会社「ケイオス」(大阪市)の呼びかけで、7月に大阪ガスの不動産子会社「アーバネックス」など、地区内のビルオーナー数社が集まり、情報交換の会合を定期的に開くことを決めた。今後は、地区内のお店を紹介する地図や共通のクーポン券を作るなどのPRにも力を入れる。

いわせてんか! 西区・堀江エリアは、お洒落なカフェなどが集まることで、にぎわいのある街へと変化をとげた。りそな総合研究所の調査によると、北堀江1〜3丁目、南堀江1〜3丁目における平成7年から平成12年の人口の増加率は27.6%(右記エリアを除く西区での増加率は5.2%)、特に20〜34歳人口の増加率は63.7%(同10.2%)と高い伸び率をみせている。若い世代を中心とした居住が進んだといえる。
 記事にあるコンサルタント会社「ケイオス」は、淀屋橋地区を、「スーツだけの街ではなく、将来は、気のきいたレストランやブティックなどの本店、ジャズクラブ、画廊、美術館、アトリエなどの文化の香り、そして究極のイメージは、デザインにも気を配られているホテルと住居が混在するアメニティあふれる街に育って欲しい」と考えているとのことで、まずは、記事にあるように今年5月に3店のお洒落な雰囲気の飲食店をオープンさせた。今後、このような動きが強まれば、淀屋橋西側地区が、大阪の新しいブランドエリアになるかもしれない。





住団連、「2002年度戸建注文住宅の顧客実態調査結果」を発表
  (R.E.port news 2003.10.21)  
   (社)住宅生産団体連合会は21日、「2002年度戸建注文住宅の顧客実態調査」の結果をとりまとめ公表した。
 同調査は、戸建て注文住宅の顧客ニーズの変化を把握し、今後の社会にふさわしい住宅の供給をめざすことを目的に実施しているもので、今回は2000年度の調査開始より、4回目となる。調査対象エリアは、3大都市圏と地方都市圏(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)で、3,000件の有効回答を得ている。
 これによると戸建て注文住宅の平均顧客像は、年齢44.5歳(昨年度45.3歳)、家族数3.81人(同3.92人)、世帯年収858万円(同901万円)、住宅延べ床面積145平方メートル(同147平方メートル)、建築費2,953万円(同3,031万円)など、ほぼすべての項目において前年を下回る結果となった。なお、今年度の2世帯同居率が18.4%、建て替え率は37.6%であった。また、資金の内訳の中では、「贈与あり」の割合が昨年度の21.1%から21.3%と増加傾向にあり、金額も昨年度の576万円に対し今年度は731万円となった。属性別の贈与額をみると、世帯主が若いほど贈与を受ける割合が高いが、贈与金額については30〜40歳代が多くなっている。住宅ローンの借入先については、住宅金融公庫が27.4%と昨年度の54.1%に比べ大幅にダウンした一方で、民間金融機関が大幅に増加し71.0%となった。
 住宅ローン減税の効果は、「住宅ローン返済に充当」と「単に建築費の節約」が大半を占めるとともに増加の傾向にある。また、住宅消費税の資金計画への影響については「かなり圧迫感があった」「少し圧迫感があった」を合わせると72.3%となり、例年に続いて高水準。特に20〜30歳代に圧迫感を感じている傾向が高いという結果であった。
 なお、「2002年度戸建て注文住宅の顧客実態調査結果」は、1冊2,000円で頒布している。
問い合わせ先は以下の通り。

■問い合わせ先 広報部 嶋津氏 TEL:03-3592-6441
 (社)住宅生産団体連合会

いわせてんか! 今年、住宅資金贈与の税制が改正されたことから、贈与を受ける割合も金額もさらに増加しているものと思われる。  年収増加が見込めない昨今、親の援助がないとなかなか住宅が買えない現実が伺える。住宅需要者のうち20歳代〜30歳代前半の若い人たちの割合が増えているという話も聞く。住み替えの二次取得が難しいこともあって住宅を買う人たちの層や世代の変化が見られるようだ。





H15.10.21最高裁の2判決 「サブリース」賃料、減額請求は可能
  (nikkei net 2003/10/21)  
   不動産会社が地主にビルを建設させ転貸する「サブリース」契約をめぐり、住友不動産が保証した賃料を経済変動を理由に減額できるかが争われた二つの訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は21日、「借地借家法32条を適用して減額請求する権利はある」との初判断を示した。
 ただ今回の訴訟で請求権が認められる部分について、請求の可否や請求を認めた場合の妥当な賃料の審理をやり直すよう東京高裁に差し戻した。
 第三小法廷は減額請求の可否、賃料について判断する際は「地主は賃料収入などの契約内容を前提に多額の資本を投下しており、公平の見地からこうした事情を十分に考慮すべきだ」と強調。考慮すべき点として、

  ▽当初の賃料を決定した経緯
  ▽周辺の賃料相場との関係
  ▽転貸事業の収支予測
  ▽地主の銀行借入金の返済予定

などを挙げた。
 不動産市況が低迷する中、同種契約が継続しているケースもあり、今回の判断は今後の紛争でも指標となりそうだ。

(1)平成15年10月21日 第三小法廷判決 平成12年(受)第573号、574号 敷金請求本訴,賃料相当額確認請求反訴事件

(2)平成15年10月21日 第三小法廷判決 平成12年(受)第123号 建物賃料改定請求事件

いわせてんか! 減額請求の当否及び相当賃料額を判断する際に考慮すべき点を、判決文から抜粋すると以下のようなものである。
 「・・本件契約において賃料額が決定されるに至った経緯や賃料自動増額特約が付されるに至った事情、とりわけ

[1]  当該約定賃料額と当時の近傍同種の建物の賃料相場との関係(賃料相場とのかい離 有無、程度等)
[2]  第1審被告の転貸事業における収支予測にかかわる事情(賃料の転貸収入に占める 合の推移の見通しについての当事者の認識等)
[3]  第1審原告の敷金及び銀行借入金の返済の予定にかかわる事情等

をも十分に考慮すべきである。」
 藤田宙靖裁判長は、賃料減額請求の法的根拠たる借地借家法32条の「・・当否(同項所定の賃料増減額請求権行使の要件充足の有無)及び相当賃料額を判断する場合に、重要な事情として十分に考慮されるべきである」として、(1)の判決では「・・減額を求めることができる」とした。
 契約当時の事情は種々様々だったであろう。お互いの“思惑”、当事者の力関係・・。合意は、その“当時の”経済事情と近未来の予測に基づいて行われている。しかし、経済事情は激変した。
 合意時点と、争いを起こした時点の『適正な(市場)賃料』はわかる。その余の当事者の思惑は、当事者間の事実を積み上げなければわからない。そのことを明確にした判例である。









 

 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

           
 
  ―平成15年10月22日号・完―  
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