|
||||||||||||||||||||
平成16年1月28日 第194号 |
||||||||||||||||||||
今週のヘッドライン | ||||||||||||||||||||
手ごろ価格で若年層に的、住宅大手が小規模分譲 ――大和ハウス・積水ハウス、ミサワ。 不動産投信、人気集める ――6銘柄が昨年来高値 REIT指数は1200ポイント越す 「正常価格」「Market Value」「Fair Value」「Value in use」 |
||||||||||||||||||||
手ごろ価格で若年層に的、住宅大手が小規模分譲 ――大和ハウス・積水ハウス、ミサワ。 |
||||||||||||||||||||
(日経 H16.1.13) | ||||||||||||||||||||
住宅大手各社は小規模の住宅分譲を強化する。大和ハウス工業や積水ハウスは土地仕入れを増やして都市部で10区画規模の開発に注力。ミサワホームは1区画が100平方メートル以下の「ミニ分譲」をテコ入れする。小回りの利く開発でリスクを避けるとともに、土地と建物がセットの手ごろな価格の住宅供給で若年層顧客の開拓を狙う。 大和ハウスは2003年度下期の土地仕入れ枠を600億円(マンション用地も含む)に設定、前年同期比で3割増やした。都市部を中心に10区画程度の小規模宅地の開発を増やす。100区画以上の大型物件の場合、開発着手から住宅建築・販売まで2−3年かかるため地価下落リスクが大きい。規模を小さくすることで開発期間を短縮する。 積水ハウスは特に土地仕入れ枠などを設けていないが、立地条件の良い企業の事業所跡地など「半年をメドに売却可能」といった社内基準を満たす開発案件を強化する。下期は住宅用土地の受注で前年同期比33%増の477億円を見込む。 両社が狙うのは、初めて住宅を取得する「団塊ジュニア」を中心とする30代前後の消費者層。3.3平方メートル当たり50万円台の住宅商品を組み合わせ全体の価格を抑える。敷地面積100−130平方メートルの土地付き住宅の価格帯は、地方都市で3,000万円台後半−4,000円台、首都圏でも5,000千万円台が中心になる。 ミサワホームは首都圏で、1区画が100平方メートル以内の建売住宅を3−4戸単位で売り出すミニ分譲に取り組む。隣り合う住宅は外観や植栽に統一感を持たせる。駐車スペース付きの都市型3階建て住宅(延べ床面積約100平方メートル)を中心に、販売価格は4,000万円台に抑える。 大阪や名古屋地区でも同様の建売住宅販売を展開。2005年3月期には東京都内で500戸、大阪・名古屋も含めた三大都市圏で1,000戸の販売を目指す。 住宅市場では40代〜50代の買い替え需要が減少し、20代〜30代の1次取得層が主たる需要層となっている状況、また、地価下落は不確実なものでなくなっていることから開発期間の短縮を図らなければならない状況の中で、中小規模の建売業者による建売住宅のミニ分譲は駅徒歩圏内を中心に多く見られるようになっており、住宅大手においても既に同様の傾向も見られていたが、1次取得層を対象とする販売活動をより強化する方向にあるようだ。 開発期間の短縮という点で、大規模の宅地開発に対して、マンション分譲への転換という方向がある。規模にもよるが、一般的に、マンション事業は土地の取得から販売完了まで1年半〜2年程度で、金利変動や地価下落などの不確実性による影響が少ないと言われる。一方、記事では、例えば、積水ハウスの「立地条件の良い企業の事業所跡地など『半年をメドに売却可能』といった社内基準を満たす開発案件を強化する」というような方針が紹介されている。 マンション分譲と宅地分譲・建売分譲を単純には比較できないものの、ミニ分譲のような小規模の宅地分譲・建売分譲は、短い期間で事業に取り組むことで地価下落等の不確実性を抑えることができるという点では、大規模宅地分譲との比較だけでなく、マンション分譲との比較においても、より有利であり、また、マンション用地の取得に比べ規模等の制約も少なく融通が利くところから、まだまだ、ミニ分譲のような小規模の宅地分譲・建売分譲が多くみられると思われる。 |
||||||||||||||||||||
不動産投信、人気集める 6銘柄が昨年来高値 REIT指数は1200ポイント越す |
||||||||||||||||||||
(日経 H16.1.28) | ||||||||||||||||||||
東京証券取引所に上場する不動産投資信託(REIT)が相次ぎ高値を更新している。27日は三井不動産系の日本ビルファンド投資法人、三菱地所系のジャパンリアルエステイト投資法人など上場する10銘柄のうち、6銘柄がそろって昨年来高値を付けた。不動産投信に投資するファンドが新たに設定されたうえ、運用難に悩む地方の金融機関を中心に積極的な買いが続いたようだ。 株式市場が模様眺めムードを強めた中で、4%前後という利回りが改めて評価されている。東証が上場全銘柄を対象に時価総額加重平均方式で算出する「東証REIT指数」は、27日に1213.46ポイント(2003年3月末の1000ポイントが基準値)と算出開始以来の高値を付けた。 27日は日興アセットマネジメントが日本を含めた世界各国の不動産投信に投資するファンドを新規設定。当初設定額は331億円とこれまでの不動産投信ファンドで最大の資金を集めた。日本の不動産投信に振り向ける金額は明らかではないが、一部で先回りして購入する向きもあったようだ。 地方銀行をはじめ金融機関が引き続き買い増しているとの見方が多い。東証が2003年4月分から公表を始めた不動産投信の投資主体別売買動向では、昨年4月から12月まで金融機関は一貫して買い越した。1月に入ってからも買い越し基調は変わらないとみられるが、「不動産投信は高利回りによる安定収益を狙うのが一般的で、需給面でやや過熱感が強まっている」(みずほ証券の石沢卓志シニア不動産アナリスト)との指摘があった。 海外では投資家の資産運用の一手段として定着している不動産投資信託が日本に登場して2年半。超低金利の昨今、株式に比べて利回りが高く、昨年からは譲渡益及び配当金に対して10%の優遇税率が適用されており、人気も注目度も高い。市場規模は今後ますます拡大していくであろう。個人投資家層も増えている。銘柄の特徴、投資信託委託業者(運用会社)の優劣、不動産固有のリスク(不動産自体の老朽化、テナント入居率、不可避な自然災害等)、投資物件の中身(オフィスビル専門、賃貸マンション専門などなど)、リスクをしっかり見極めて投資したい・・・と個人的にも遅ればせながら僅かながら始めてみようか考えているところである。 |
||||||||||||||||||||
「正常価格」「Market Value」「Fair Value」「Value in use」 | ||||||||||||||||||||
(各評価基準) | ||||||||||||||||||||
評価に関する各国際基準と日本の不動産鑑定評価基準の、評価の語句の定義は以下のようである。
不動産の評価に関する語の定義で、厳密に英訳で比較してみると、その差異がはっきり見えてくる。元々不動産鑑定評価基準もアメリカの基準を参考としており、その趣旨・本旨を日本の文化や評価慣行合わせることは、かなり困難だったのではないか?また、時代とともにその意味合いは変化し続けている。 昨年の「正常価格」の定義改定以降、特に周辺の制度の導入について、各制度における不動産の評価を、どのような定義のもとで行うのか?の議論が起こっている。減損会計で考えると、会計制度上では、時価は国際会計基準の「Fair Value」を意味しているようだし、これと比較される使用価値は「Value in Use」にあたると思われる。特に、鑑定評価基準により時価評価を代行させると適用指針に記載されていることから、正常価格との異同を考えないとならない。 上記訳においては「Market Value」とされており、国際評価基準では「Fair Value」と「Market Value」の差異を明確にしている以上(下線部)、国際上の評価の語彙からはズレを生じていることになる。 理念的なものであるとはいえ、“何を評価しているか?”の根幹であり、キチンと説明する必要があるだろう。 ちなみに、「正常価格」という語を調べてみると、広辞苑では「(normal price) 需要・供給の関係で刻々に生ずる偶然的要因を除いた、恒常的要因によって定まる価格。自然価格。⇔市場価格」と定義され市場価格と対峙されており、日本大百科全書では「normal price 市場価格は一時的な需要と供給によって絶えず変動するが、その奥にそれが長期的に落ち着こうとする水準があり、市場価格はそれをめぐって変動するとみるとき、その中心となる価格を正常価格という。A・スミスなど古典派のいう自然価格やK・マルクスの生産価格などがその一つであり、参入の自由な競争市場において、参入が行き着いた結果として成立する長期価格などの経済分析上の概念もその一つである」とし、これも市場で発生する価格とは異なるとしている。日本語が意味するところも考え物である。 |
||||||||||||||||||||
※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。 | ||||||||||||||||||||
―平成16年1月28日号・完― | ||||||||||||||||||||
戻る | ||||||||||||||||||||