週刊アクセス
 
 
平成16年5月5日 第208号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
不動産利用の推移―例えば商業施設の業種・業態と利用規模
 
     
不動産利用の推移―例えば商業施設の業種・業態と利用規模
  『都市・建築・不動産企画開発マニュアル2004〜05』
(エクスナレッジ、2004.3)より。
 
   『近年の小売業を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いている。中でも2002年にはウォルマートが西友の経営権を取得し日本進出を決定づけるなど、本格的な競合時代に入りつつあり、競合となる小売業者は対応策を迫られている。
 また、新たな業態の登場も予感され、変革期に入りつつある。』(p110)

 『「レジャー白書2003」によると、平成14年の余暇関連サービス業は、消費の冷え込みに伴う売上の落ち込みを反映し、業界全体の業況はマイナス基調となっている。
 …余暇支出については、平成13年以降上昇傾向になり、一部では回復に向かう業種も見られる。
 …市場規模の推移を見ると、カラオケで市場規模の減少が目立つほかは、概ね堅調に推移している。
 特に映画は、近年のシネコンブームを受け、市場規模を大きく伸ばしている。温浴施設と複合カフェは、新たに平成14年から調査対象に加えられた業種である…』(p127)

いわせてんか! ある市のロードサイド商業地域を暦年で調査していて、前年度調査時の利用状況と今年のものが殆ど違っていて驚いた。交通量が多く、乗用車率も高いため、ロードサイドとしてはポテンシャルが高い地域だが、ここまで変化が早いとはおもっていなかった。
 複合商業施設も目白押しである。私事で恐縮だが、自宅からクルマで15分以内の店舗営業面積1万坪以上のSCがここ1年で2件できて、合計4つの複合SCを選択可能になった。また、元気なHC(ホームセンター)が1000坪程度の工場跡地に進出、既存のHCと価格競争をやって、消費者にはうれしい話である。
 新しい業態も散見される。上記本でも紹介されている温浴施設(いわゆる健康ランド、最近ではスーパー温泉)や、商業施設では、ガーデニングやペットショップなど。小さい単位では、持ち帰り弁当などが居抜きで出店したりしている。映画もシネコンが増えて随分行きやすくなり、DVDの爆発的普及は『大きな画面で!』という逆の欲望も刺激しているのかもしれない。
 収入が不安な中で消費者の商品・商店情報が増え、いよいよお店の選別が厳しくなっている。そこでは採算性が強く意識され、業態変化は激しい。不動産に関していえば、購入よりも賃貸、借地よりも借家、普通借地よりも定期借地…と事業期間と投下資本の組み合わせが“短く・安く”の方向を向いている。自ずと複合化したり、建物等の償却資産投資を削るなどの傾向が見られ、上記のロードサイドの如く、1年たてば…である。建物は躯体だけのような張りぼてが目立っている。
 商店街などの中心商業地の衰退や、乱造されたロードサイド…。“街並み”の点からは憂い多い。どこへ行っても同じロードサイドの風景…は、一度は感じられていることだろう。
 鑑定士としては、ミクロではその移ろいやすい利用による価値を出すという使命もあるが、マクロでは長期的にみた“街の行く末”も論じていく必要があると感じられるが、いかがだろう?

 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成16年5月5日号・完―  
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