週刊アクセス
 
 
平成17年1月26日 第246号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
JR西日本、大阪駅南口のビル拡張計画
──2─15階に大丸新館、3階に南北結ぶ歩行者デッキ
近畿、住宅地価5.8%下落――12月前年比一部、14年ぶり上昇
第1回京都検定に3600人が合格
国税庁HP 実務直結!資産税等の質疑応答事例1,300問以上を公開
 
     
JR西日本、大阪駅南口のビル拡張計画
   ──2─15階に大丸新館、3階に南北結ぶ歩行者デッキ
  (日経ネット関西版 H17.1.20)  
   西日本旅客鉄道(JR西日本)は19日、大阪駅の南口部分を再整備する計画を明らかにした。大丸梅田店が入居する駅ビル「アクティ大阪」(27階建て)の14〜15階までを南側にせり出す形で広げ、大丸が新館として使う。ビル周辺は南口広場として一体で整備する。北口にもビルと広場を新設し、大阪の玄関口である大阪駅は様相が一変する。
 大丸は現在約4万平方メートルの売り場の増床をJR西日本にかねて要請してきた。アクティの拡張部分の2階以上に入ることで売り場は約6万平方メートルに広がり、2011年に完成予定の新北ビルに入る三越を上回る。
 JR西日本は駅の3階部分にホームをまたいで南北を貫く歩行者用デッキを建設し、アクティの3階を通り抜けてエスカレーターで地上に向かう人の流れを作る。南口は開放感のある「人が憩える広場」(垣内剛社長)とする。
 現在の南口はタクシーとバス乗り場が中心で、駅周辺で買い物や飲食を楽しみたい人には不向き。新たな南口は地下街とも行き来しやすく、西梅田地区などに回遊する消費者も増えそうだ。

いわせてんか! ちょうど1年ほど前にJR西日本により発表された大阪駅及び駅北側ビルの大規模な改造計画の発表に続き、南側の再整備計画が発表された。
 これまで、大阪駅の南側は、特に地上部分での連続性が低く、阪神百貨店との距離感が相当にある状態にあった。
 これが、上記の大阪駅及び駅北側ビルの改造と今回の「アクティ大阪」の増築計画で、再開発計画がスタートする大阪駅北側、現在の南側バス・タクシー乗り場の南方・南西方にあたる「阪神百貨店」「ハービスエント」との一体感が、ある程度実現しそうである。(現在、その連続性を低めている原因の一つであるバス・タクシー乗り場については、増築にあわせ歩行者重視の観点に立ち再配置する計画となっている。)
 この「アクティ大阪」の増築により大丸の売場面積が、梅田周辺では、阪急百貨店に続く増床となる。増床後の面積は、大丸が約6万m2、阪急百貨店が約8万m2となる予定だ。
 経済産業省の商業統計によれば、大阪府の百貨店年間販売額は1991年から2002年の間で大きく減少している。(業態分類の見直しが1997年・2002年になされているが、1991から2002への増減率を東京・愛知・大阪で比較すると、東京は約30%の下落、愛知は約8%の下落であるのに対し、大阪は約45%の下落となっている)
 この間、大阪では売場面積は減少していたが、ここにきて、売場面積増床のニュースが相次いで出てきている。これまでの傾向が続くようであれば、これまで以上の限られたパイの奪い合いという絵が浮かぶ。梅田地区内での競争の激化や、大阪府内でも、心斎橋でそごうが建替えとともに大幅な売り場面積の増床で新規再開を図っているなど、「キタ」、「ミナミ」といった地区の間の競争も激化することとなりそうだ。

 
 
近畿、住宅地価5.8%下落――12月前年比一部、14年ぶり上昇
  (日経 2005.1.21)  
   ミサワホームホールディングス系のミサワエムアールディー(東京・新宿)が20日発表した2004年12月1日時点の近畿圏(和歌山県を除く2府3県)の住宅地価格は1年前に比べ5.8%下落し、15年連続で前年を下回った。ただ一部地域は14年ぶりに上昇に転じた。地価の二極化が進行しているもようだ。
 調査は近畿圏の414地点について321の不動産業者から店頭売り出し価格を聞き取り、それを基に約1平方キロメートルごとに区分けした3187カ所の値を算出した。
 上昇した地点は阪神間の兵庫県西宮市の南部地域、同芦屋市、神戸市灘区、京都市左京区、同伏見区などの39カ所。交通の利便性や教育環境が良いことなどが評価されているという。上昇率が最大だった地点は芦屋市月若町付近の4.8%。
 横ばい地点も前回調査の12カ所から212カ所に急増。都市部などで下げ止まる傾向がみられる。
 一方、供給過剰が続く郊外の団地や交通利便性の劣る地域では地価下落が継続。神戸市北区や兵庫県川西市、同三田市や奈良県北部などの住宅団地では下落率が10%超の地点が目立つ。最大下落率は西宮市名塩南台付近の27.8%。

いわせてんか! 阪神間の住宅地は、ブランド力もあって根強い人気を誇っている。京都の松ヶ崎辺りは、観光地的な「京都らしい」雰囲気はあまり無いが、中心部への交通が便利で、街路が整然として街並みがきれいで、お家が立派でセンス良く、快適で閑静な住宅地である。阪神間ほどの全国的知名度は無いかも知れないが、負けず劣らずの好環境だと個人的には思う。
 逆に、需要が低迷している遠隔地、供給過剰な住宅団地、街並みが劣った地域などは前回調査同様の大きな下落だという。大阪では遠隔地となる泉南市・河内長野市の一部、兵庫では供給過剰により神戸市北区・三田市・川西市などで、10%超の下落も見られると報告されている。
 地価の値ごろ感が浸透し、需要者の選別意識が反映された結果である。住宅購入者の住宅地に対する選別の厳しさはますます強まるであろう。

 
 
第1回京都検定に3600人が合格
  (京都新聞 H17.1.25)  
   合格率60代以上が30代以下に比べ2.5倍 。
 京都商工会議所は25日、昨年12月に初めて実施した「京都・観光文化検定試験(京都検定)」の結果を発表した。合格者を世代別にみると2、3級とも60代以上の平均合格率が30代以下に比べて約2.5倍も高かった。2級合格者を対象に12月に行う1級試験では、面接の実施も検討している。
 2級は3867人が受験し、70点以上の合格者は1150人で、合格率は29.7%。3級は5934人中、2526人が合格で、同42.5%だった。いずれも7割以上が府内在住だった。
 合格者の最年少は2級が16歳、3級が14歳。世代別の合格率は高齢になるほど高く、3級の場合、20代は20.6%、30代は35%だったのに対し、60代は70%に上り、80代では7人のうち6人が合格した。
 職業別では、2、3級とも無職・主婦がトップで、タクシー運転手らを含む運輸・通信業、サービス業と続いた。京商は、25日までに合格者全員に氏名を記した合格証を郵送した。

いわせてんか! 京都の歴史、文化の博識ぶりを試す第1回「京都・観光文化検定試験」(通称:京都検定)が平成16年12月12日に実施され、平成17年1月25日に結果が発表された。

 京都検定実施要項等

 最近の「雑学」ブームと「和」ブームが重なってか、受験生は全国から約9800人。うち3割が京都以外からの受験生。受験生の多くは、タクシー運転手やバスガイドなど観光業に関わっている人という。

 問題の出題範囲は歴史、史跡、神社、寺院、庭園、建築、美術、京料理、京菓子、伝統工芸、伝統文化、祭りと行事、しきたり、ことばと伝説、地名、自然環境、花街、観光学 等 京都に関すること全般で、対策セミナーやここから出題されるという京都・観光文化検定試験公式テキストブックまで出ている。

 3級の問題を紹介すると、

子供たちが、じゃれ合ってあばれている時に、「そんなとこで、(  )たら、アカン。」と注意する。
(ア)ホタエ (イ)ネブッ (ウ)イノイ (エ)ホカシ

正解は、(ア)ホタエ。

 2級の問題と解答 
 3級の問題と解答

 確かに、国家試験ではないことから、自己満足的な要素も多いような気がするが、合否に関わらず、『京都通』であると認めてもらえたり、もてなしの質の向上や仕事に対する自信に繋げたい。また生涯学習にするなど人それぞれの思いはある。また、京都の歴史や文化、京都ブランドを発信することでき、観光事業の活性化やサービス力の向上に繋がっていくと期待できる。

 こういった「地域検定」は京都検定だけではなく、実は全国各地で、観光産業の活性化や地域おこしの格好のツールとして使われているのである。
 変わったところでは秋田県男鹿市の「ナマハゲ伝導士認定試験」。これに合格すれば、ナマハゲになれる(!?) っというわけではないが、認定証とナマハゲピンバッヂが貰えるそうである。また「博多っ子検定」などもある。

 不動産鑑定士の試験も、現行制度では最後の年となります。悔いが残らぬよう精一杯、頑張りましょう。

 
 
 
 
国税庁HP 実務直結!資産税等の質疑応答事例1,300問以上を公開
  (税務通信 2005年1月17日 2853号)  
   国税庁はこのほど、納税者からの個別事案・法令・取扱等への照会に対して同庁が回答を行った事例の中から、主に職員の執務の参考とするために作成していた質疑応答事例を納税者向けに見直し、1月12日から国税庁HP上で全面的に公開した。
 同事例は法人税をはじめ、資産税・所得税・消費税等全税目で総計約1,300項目に及んでいるうえ、その内容も実際の事例に対する税務当局サイドの回答を、具体的な法令・通達の適用関係を含めて紹介しており、まさに実務家必携のナマの「質疑応答事例」集といえる。

いわせてんか! 一部個別に公開されていたが、なかなか更新されなかった「質疑応答事例」が、充実して帰ってきた。
 税法は、各種法律の中でもとりわけ細かく条文も多い。「租税法律主義」として、明文になければ課税できないルールだ。主に納税者に予測可能性(ある経済行為を行うと、それに対してどのような課税がなされるのかを事前に予測できること)を与えるため。そうしないと、当初の経済行為をするかしないかも決められない。
 しかし、条文が多く、煩瑣に改正されていても、現実の経済行為はめまぐるしく変わる。昨今のIT・WEBでの商行為を取り上げるまでもなく、さまざまな利益がさまざまな行為から生まれる。そこでは、税法改正ではキャッチアップできない。そのためといってはなんだが、いわゆる“○○税法基本通達”といった通達によってさらに条文を細かく解釈する。これは行政の内部規範であるため、納税者や裁判所を直接拘束はしない。税務が通達行政とよばれる所以である。
 まだまだ…! 通達でも解釈があいまいな点が多々ある。これを補うのが「質疑応答」。これは、記事の如く納税者が公式に税務署などに問い合わせたものに対し、回答が出たもの。私も何度か質疑を出してみたが、なかなか回答はいただけなかった。
 その意味で、今回の事例集は国税庁としてオーソライズされたものと考えていいだろう。ただし、そこは慎重に、注記として『この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください』と釘を刺す。
 いわば、準通達としての事例集。裁判等においては、その拘束性のなさから、事例回答に則って経済行為をしたといっても、認められない可能性はあるが、実務においては、課税庁との折衝の中で重要な先例としての役割を果たすことは間違いない。
 関連専門家としては、課税の予測や有効なタックスプランニングのため、まずは当っておかねばならないものだろう。

 例えば、以下のような「借地権の及ぶ範囲」(財産の評価)。
 相続の財産評価で、郊外路線商業施設に土地を貸している地主に相続が起こったとしよう。広大な敷地に、店舗部分は比較的小さい。ただし、駐車場の重要性は高く、売り上げ維持のためには多くの駐車場面積を“一体として”必要とする。地主としては、底地とすれば評価額が下がることになるため、なるべく借地権の範囲を広げたい。
さて、どこまでが借地権の及ぶ範囲か?
 回答は、契約内容などで説明せよという。実際そうだろう。また、道路等で敷地分断して駐車場を設けている場合は、一体性主張を認めがたいようだ。地域の標準的駐車場割合などで説明してゆけば、合理的範囲なら一体性が認められるかもしれない。
 この話題は、鑑定でもしばしば問題になる。最近はコンビニでも300坪以上欲しがる。入りやすさや駐車場の広さが、他の店舗との差別化、収益拡大に貢献しているのだ。そうすると、及ぶ範囲は徐々に広がっているといえる。こんな市場の実情を、「質疑応答事例」に乗せて説明するなら、及ぶ範囲を広げることも可能ではないか。

借地権の及ぶ範囲

【照会要旨】
郊外にあるレストランやパチンコ店のように、賃借した広い土地を建物の敷地と駐車場用地とに一体として利用している場合には、その土地全体に借地権が及ぶものとして評価してよいのでしょうか。

【回答要旨】
借地権の及ぶ範囲については、必ずしも建物敷地に限られるものではなく、一律に借地権の及ぶ範囲を定めることは実情に沿いません。借地権の及ぶ範囲は、借地契約の内容、例えば、権利金や地代の算定根拠、土地利用の制限等に基づいて判定することが合理的であると考えられます。
 なお、建物の敷地と駐車場用地とが、不特定多数の者の通行の用に供されている道路等により物理的に分離されている場合には、それぞれの土地に存する権利を別個に判定することとなります。

【関係法令通達】
 財産評価基本通達27

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成17年1月26日号・完―  
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お茶請けに・・・千鳥屋「生酒饅頭」など
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