週刊アクセス
 
 
平成17年5月11日 第261号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
昨年度の住宅着工1.7%増、2年連続でプラス
減損処理前倒し3兆円超
 −資産健全化にメド、上場420社、工場・店舗も目立つ
 
     
昨年度の住宅着工1.7%増、2年連続でプラス
  (日経ネット H17.4.28)  
   国土交通省は28日、2004年度の新設住宅着工戸数が前年度比1.7%増の119万3038戸になったと発表した。前年度の水準を上回るのは2年連続。貸家が1.9%増、分譲住宅が4.6%増と好調だった。持ち家は住宅ローン減税縮小の影響などで1.6%の減少だった。
 地域別では首都圏が0.9%減少した以外は、中部圏が1.3%増、近畿圏が1.6%増、その他地域が4.2%増だった。特に、中国や九州地方が好調なその他地域は分譲マンションが28.0%増と大幅な伸びを示した。国交省は「首都圏がけん引してきた住宅需要が地方圏にも広がってきた」と分析している。

いわせてんか! この1年間の比較としては、記事で紹介されているように、その他地域(地方圏)の分譲マンションが28.0%増とあるのに対し、首都圏での分譲マンションは4.5%減と最も減少している。首都圏と地方とで傾向が異なっている。
 この5年程度の動向としては、特に目立つのが、首都圏での分譲一戸建住宅の好調ぶり。平成11年の52,166戸から71,546戸へと、約37%増加(首都圏の総数では約10%増)している。
 平成16年で約7万戸と総数全体に占める割合は分譲マンション(約11万戸)等に比べると低いが、堅調に推移しており、総数全体を押し上げる要因の一つになっている。販売価格の低下による購入マインドが高まった20歳代後半から30歳代の若年層の旺盛な取得意欲を背景に増加している模様だ。
 総数でみると、分譲一戸建住宅のほか、比較的堅調な推移を見せている分譲マンション・貸家の増加により、平成11年時点でその他地域(地方圏)と首都圏で約10万戸の差があったのが、平成16年時点ではその差は約3万戸とかなり縮小している。
 同日発表された民間非居住用建築物の動向としては、昨年に比べ、事務所、店舗、工場、倉庫ともに増加している。用途別では、鉱業・建設業用、製造業用、卸売・小売業用、金融・保険業用、不動産業用、その他サービス業用が増加。情報通信業用、飲食店・宿泊業用、医療・福祉用が減少している。

 
 
減損処理前倒し3兆円超
 −資産健全化にメド、上場420社、工場・店舗も目立つ
  (日経 H17.5.9)  
   企業が建物や土地、工場施設などの損失処理を加速している。固定資産の価値下落を損失に計上する減損会計を前倒しで採用した上場企業は約420社、損失の合計額は3兆300億円に達した。…早めに資産の健全化にメドを付け、収益性の高い事業に経営資源を集中させるのが目的だ。

 減損会計の前倒し適用期間である04年3月期から06年2月期までについて、日本経済新聞社か上場企業2800社(金融、新興市場を除く)を対象にした。

 最近目立つのが、製造業の生産設備や流通業の店舗など、本業に直接かかわる資産での損失の計上だ。3期連続で営業赤字となった事業分野での設備や店舗が減損処理の候補になる。

 …野村證券金融経済研究所の野村嘉浩ストラテジストは「減損処理のピークは超えたが、前倒しで処理した企業と先送りしたところでは今後、収益力格差が鮮明になる可能性がある」と指摘する。

いわせてんか! 早期適用の全容が明らかになりつつある。
 適用の詳細についても徐々に固まりつつあるようで、体力と相談しつつ実際の特別損失を計上しているのだろう。早期適用による収益力の増加は、実際に市場人の考慮するところとなっていることも見逃せない。
 本業関連施設(不動産)での3期赤字という現象は、分かりやすい投資の失敗を表現している。土地に関しては、地価下落の激しい地域(当然、バブル期など地価の高い時期に取得して、簿価が高く、結果として過剰投資になっている)、建物・設備については収益予測に対して過剰であった(借入余力の過大さから不必要な投資を行っているものを含む)結果が出ていると推測される。
 今後、以前のような不動産の急激な上昇を望むべくもなく、土地の価格もそこから得られる“収益性”をベースに形成される今、この時価ベースまで切り下げて投資の失敗を表現し、償却負担を取り除いた上で新たなスタートを切る。株主等利害関係者へのパフォーマンスを含め、早めにキチットやっておくべきことだろう。

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成17年5月11日号・完―  
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