週刊アクセス
 
 
平成17年7月20日 第271号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
新大阪センイシティー、再開発で複合商業施設
──来年11月、コーナン・上新電機入居
10年後の不動産価格…鑑定業界…大阪の姿アンケート
 
     
新大阪センイシティー、再開発で複合商業施設
          ──来年11月、コーナン・上新電機入居
  (日経ネット関西版 H17.7.9)  
   繊維・衣料など152の卸売業者で組織する協同組合新大阪センイシティー(大阪市淀川区、吉木学理事長)は8日、JR新大阪駅北西側で来年11月に複合商業施設を開業すると発表した。3棟ある商業ビルのうち1棟を再開発し、ホームセンターのコーナン商事が一括賃借する。上新電機も核テナントの1つとして入る。新大阪駅から約500メートルという立地を生かし、新たな商業ゾーンの形成を目指す。
 複合商業施設は地上3階、地下1階で延べ床面積は3万8500平方メートル。400台収容の駐車場を備える。総事業費として75億円を投じる。組合の子会社が複合商業施設を建設し、コーナン商事が20年間、一括賃借する。先月30日に同組合とコーナン商事が契約を結んだ。
 組合員で共同所有しているビルは1号館(延べ床面積3万7000平方メートル)、2号館(同5万3000平方メートル)、3号館(同4万平方メートル)の3棟ある。入居する衣料や寝装品、日用雑貨などの卸問屋は閉店が相次ぎ、全422区画のうち160区画が空いている。営業中の店舗を1、2号館に集約し、9月から3号館の解体を始める。跡地で来年3月に着工し、同10月の施設完成を目指す。同11月の開業に合わせ、1、2号館も全面改装する。
 計画では1階にコーナン商事が売り場面積約6600平方メートルのホームセンターを構える。2階には上新電機が入居する。大手スポーツ用品店も2階への出店を検討している。コーナンは北隣の地下鉄東三国駅近くにも店舗があり、地域集中出店で固定客をつかむ。
 同組合は2000年に学識経験者や商業コンサルタント、建設会社でつくる研究委員会を発足させ、総事業費200億円で地上13階建ての高層ビルを建設し、シネマコンプレックスや総合スーパーなどを誘致する構想をまとめていた。負担が大きいことから慎重論が出て軌道修正した。

いわせてんか! 「新大阪」駅は、新幹線の停車駅であり首都圏との交通アクセスのよさなどから、業務ビルが集積する業務商業地域を形成している。特に、駅北西側正面に数年前竣工したニッセイ新大阪ビルにより、業務地区としての風格が出てきた。また、近年は、オフィス賃料の手頃感もあり、ITベンチャーが集積している。
 「新大阪」駅北西方約500mに位置する、新大阪センイシティーは、昭和44年(1969)に全国屈指の繊維卸売団地として、国の助成と大阪府・市の全面的なバックアップで誕生した、新大阪界隈発展のパイオニア的存在であった。
 その新大阪センイシティーの3号館が複合商業施設として建替えられ、コーナンにより賃借されることとなった。コーナンは、大阪市内では、平野区・生野区・都島区・淀川区等、大阪市中心部の外縁に店舗進出しており、今回も同種の立地先となっている。そこに、郊外型店中心の店舗展開をすすめ、コーナンとの“あいのり”も多く見られる上新電機が進出する。
 新大阪駅から約500メートルという立地ではあるが、新御堂筋と176号線間に位置し、郊外型的立地特性も有するように思われる。新大阪駅という立地を活かした広域の商圏はあまり意識していないように思われる。
 市内の人口の増加率は、ここ最近では、マンション立地により、西区、中央区、天王寺区、北区等で高い数値を示している。しかし、大阪市内の人口総数では、平成16年で、平野区に次いで、淀川区が2位、東淀川区が3位である。また、西淀川区では、工場跡地へのマンション・建売住宅の立地等により、平成16年の対前年増加率は1.3%と、市内では7位に位置し比較的人口増加率が高い。新大阪駅に近接しているということよりも、周辺背後の人口の方が着目されたのではないか。
 新大阪の持つ、業務商業地域としての特性からは、店舗を核とする商業ゾーンとしての変化にまで至るとは考えにくいが、新御堂筋と176号線の間に位置する点、郊外型的立地特性も有していると思われる点を踏まえると、単体での一定の利用は見込まれそうだ。

 
 
 
 
10年後の不動産価格…鑑定業界…大阪の姿アンケート
  ((社)大阪府不動産鑑定士協会・10周年記念誌)  
   大阪府不動産鑑定士協会では、10周年を記念して記念誌の発行を企画し、次のようなアンケートを現在実施中である。

  10年後の不動産価格予測と会員数予測
  鑑定業界の未来像(または大阪の姿)を描くアンケート

 (アンケート用紙)鑑定協会のHPより ※但し会員限定
  http://www.rea-osaka.or.jp/image/member/info/170525_5.doc

いわせてんか! 10年後の不動産、不動産鑑定、大阪はどのようになっているだろう?
 上記、大阪の不動産鑑定士会は10周年でここをアンケートしている。不動産鑑定士が、不動産の価格や自らの業界から10年後を予測する。またひとつ、違った視点の将来予測である。筆者がその記念誌委員会に所属していることもあって、取り上げてみた。
 不動産価格の予測は、関西のトップ地(商業・住宅)と住宅の最高下落地点の3ポイント(いずれも地価公示ポイント)。商業地のトップは梅田のヘップナビオだが、現在寄せられているだけでも、上下様々な価格が予想されている。これだけでも、現在が不動産価格の上昇・下落が踊り場にあり、中期的将来を占うことが難しい状況を見て取れる。業界・大阪の未来もいろいろに描かれていて面白い。
 できるだけ多くの鑑定士会員の方の意見が寄せられるといいと思う。まだ出されていない方は、是非ご参加ください。

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成17年7月20日号・完―  
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