週刊アクセス
 
 
平成17年8月31日 第277号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
中央三井信託、リバースモーゲージでワタミと提携
そごう心斎橋本店が復活
〜ミナミ元気へ「駅ジャック」 そごう心斎橋店営業再開PR〜
ゴルフ場 黒字6割に増えるも赤字も3割に増加
−日経・第11回ゴルフ場主要コース調査
 
     
中央三井信託、リバースモーゲージでワタミと提携
  (日経ネット H17.8.22)  
   中央三井信託銀行は22日、持ち家を担保に高齢者に老後資金を融資するローン「リバースモーゲージ」の顧客紹介で、居酒屋チェーンのワタミグループと提携したと発表した。ワタミ傘下の老人ホーム運営会社から紹介された入居予定者に入居資金を貸し出す。
 老人ホームの入居には通常、数百―数千万円の一時金がかかるため、手持ちの現金が少ない人は入居が難しかった。
 提携に合わせて融資条件を一部緩和し、担保となる家からの住み替えを認めるほか、毎年一回の定額制だった融資額を、初回に高額の資金をまとめて受け取れるようにした。老人ホームの入居資金だけでなく、バリアフリー対応のリフォームなどにも利用できる。

いわせてんか! 平成17年1月19日 第245号 中央三井信託と三井住友海上、持ち家担保に老後資金融資でみたが、全ての民間金融機関が撤退したリバースモーゲージに先鞭をつけ、取扱いを再開した同社の商品、保証人が不要という融資条件や、事前に保険料を払い込めば80歳以降は任意加入の終身年金に切り替えることもできる保険との融合商品である等の特徴が見られる商品であった。
 ただ、貸付方法が年1回の当座貸付方式(1回当たりの貸出金額は100万円以上)のみで、利用者に対する自由度のない内容であった。
 今回は融資条件が拡充された。融資金の受取り方法について一時的な高額資金ニーズに対して初回融資時に上乗せしての受取りが可能となった。
 また、担保土地評価額が7,000万円以上(当初は1億円を想定していたが取り扱い開始時に7,000万円以上に引き下げられたようだ)から5,000万円以上に下限が引き下げられたほか、担保となる自宅からの住み替えが可能になった。老人ホームや都心マンションへの住み替え意向の高齢者が多いことに対するものだ。

 住み替えをプランに組み入れた商品としては既に、旭化成が日立キャピタルと共同で取り組んだものがある。
 旭化成の「へーベルハウス」の所有者が対象で、利用者は自宅に対して家賃保証と10年後の買い取り保証を受け(5年ごとの更新も可能)、日立キャピタルから3,000万円を上限に融資を受け、今の住まいとは別の場所に暮らす。家賃保証から得られる賃貸収入から融資の返済をし、残ったお金が実質の生活費となるという仕組み。利便性に優る立地等でなければその有用性は低いと思われるが、仕組みそのものは利用者側にとって魅力のあるものになっていると思う。
 さらに、住み替え先として、シニア向け賃貸住宅を提供しており、利用者に対する将来の選択肢として、(1)シニア向け賃貸住宅にずっと住み続ける、(2)いつでも自宅に戻れる、(3)将来、子供たちとの同居や老人ホームに入居する、等を紹介している。

 この点、三井トラストホールディングス(中央三井信託)の、記事にあるワタミとの提携・商品改定に関するニュースリリースでは、担保となる自宅が、住み替え後どのように取り扱われるかについては特に言及されていない。
 リバースモーゲージの利用者は、自宅の所有主であることに変わりはなく、固定資産税や保険を支払わなければならないし、修繕も自分でしなければならない。
 リバースモーゲージが先行して進んでいるアメリカの中で9割を占める住宅都市開発省のHECM(Home Equity Conversion Mortgage)では、不動産・住宅の維持・管理ならびに固定資産税および火災保険料のチェックにはリバースモーゲージの融資を行う事業者または専門のサービサーを利用している。
 何らか考慮がなされているのか、現段階ではニュースリリースからは見えない。上記のような、利用者の立場から見た実際上の不安材料、アメリカでの現状を踏まえると、商品内容拡充に対するPRは弱いように思う。
 日本では住宅に対する意識が諸外国と異なり、住宅の建替えサイクルが短く、住み替えでも受取りが可能と融資条件を緩和したのは、依然として土地評価額を担保価値と捉えているためか。
 高齢化社会がすすみ、実物資産割合の大きい日本において、民間金融機関としても意欲的に取り組みたい分野なのだろうが、中古住宅市場が未成熟な中、今のところ取れるスタンスとして限界なのかもしれない。
 民間金融機関が主導でリバースモーゲージが進展していくかは依然として見えない状況にあるように感じる。販促の一環となりうることから、リバースモーゲージの普及と中古住宅市場への関与については、ハウスメーカーの方が意欲的になる可能性も十分あるように思う。上記のような旭化成の取組みを見てそう感じた。

 
 
 
 
そごう心斎橋本店が復活
  〜ミナミ元気へ「駅ジャック」 そごう心斎橋店営業再開PR〜
  (asahi.com 2005/08/29)  
   9月7日の営業再開を控え、百貨店そごう心斎橋本店(大阪市中央区)が29日、大阪市営地下鉄の心斎橋駅など3駅の壁やコンコースに広告ポスターを張り巡らせる「駅ジャック」を始めた。
 話題作りのイメージキャラクターは女優・宮沢りえさん。駅ジャックされた心斎橋、なんば、梅田の各駅には和服姿の宮沢りえさんのポスターが並び、通勤客らの目を引いていた。

いわせてんか! そごう本体の経営破綻をきっかけに、2000年12月から一時閉店されていた「そごう心斎橋本店」が、9月7日に新店舗で営業を再開することとなった。新店舗は百貨店のみならず、大型専門店や文化イベントが開催できる多目的ホールやギャラリーを併設した複合商業施設とのこと。
 御堂筋周辺地域は、沿道のビルの空室や空店舗が増加し、都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域として指定されており、その認可第一号である。容積率も1000%から1300%へと緩和されていることから、新店舗は地上14階地下2階建(以前は地上8階地下3階建)、売場面積は旧店舗より約1万m2広い約4万m2に大幅増床(約3割増)。建物の高さも87メートルと百貨店単独としては関西で最高層。隣接する大丸心斎橋店を超える大型店舗である。

 心斎橋周辺では、その中心にある「そごう」の一時閉店以来、集客力が低下し、梅田周辺や阿倍野地区へと顧客が流れていくなど地域の地盤沈下が指摘されていただけに期待はかなりのもの。
 心斎橋は古くからキタを凌ぐ大阪の商業拠点として繁栄し、ちょっと「心ブラ」といった言葉も生まれた、粋でおしゃれな大阪人の大人の街である。そんな心斎橋に新たなる風を吹かせてくれることに期待したい。

 詳細は、ホームページで。

 
 
 
 
ゴルフ場 黒字6割に増えるも赤字も3割に増加
      −日経・第11回ゴルフ場主要コース調査
  (日経 H17.8.25)  
   ゴルフ場の収益の二極化が鮮明になってきた。日本経済新聞社が24日まとめた「第11回ゴルフ場主要コース調査」によると、2004年度に最終黒字だったコースの割合は60%弱。合理化やサービス向上など経営改革の進展を反映し、前年度より約5ポイント増えた。一方で赤字の割合も30%近くに増加した。全国のプレー人口減少が続く厳しい環境下で、本格的な淘汰の時代が始まりそうだ。
 調査は主要193コースから回答を得た。04年度の平均売上高は1コース当たり前年度比2.0%減の約6億3600万円。平均来場者数(18ホール換算)は1.0%減の約4万3800人で2年ぶりに減少した。
 利益面を見ると、04年度に最終黒字だったゴルフ場の比率は03年度調査より4.7ポイント多い59.4%に達し、うち31.9%は4期以上、黒字を続けている。04年度に黒字転換したのは7.7%だった。一方、最終赤字のコースも29.1%と前回より1.5ポイント増え、うち13.2%は4期以上連続で赤字。赤字転落は8.2%だった。

いわせてんか! 外資を代表とする大手は、複数コース所有によるコスト削減や運営テコ入れ、会員向けサービスの拡大で収益を伸ばしている。一方、立地に劣るスタンドアローンのゴルフ場は依然苦しい状況だ。記事にもあったが、団塊世代の大量退職によるビジネスゴルファーの減少やゴルフクラブの反発規制、そして仁義なき価格競争の現状・将来では、この2極化の拡大は避けられそうもない。
 帝国データバンクによると、2005年上半期のゴルフ場倒産は前年同期の20.4%%減であり、水準自体は依然高いが、2004年までの高水準と比較すれば鎮静化傾向にあるという。また、大手企業の系列ゴルフ場の倒産は3件にとどまり、減損会計強制適用のH18.3月期は予断を許さないが、総じて落ち着いてきた。その中で、「預託金償還についても既に山を越えたと見られており…法的整理後に外資傘下に入り再建、競争力をつけてきているゴルフ場もあり、業界内での競合激化やプレー単価下落など取り巻く環境はまだまだ厳しい」とコメントする。
 不動産としてのゴルフ場は、一時期、バブルの申し子のように扱われていた。不良債権の処理の中でも常連で、バブル期の“宴の後”を何度か垣間見た。今では、一部の会員権所有者の犠牲の下に重荷を下ろして、収益性の上昇を図っているCCも多く、立地・サービルに優るところは増益を伸ばしている。なかなか、したたかなものである。

 “愛・さくら”といった若いスターが誕生し、メジャーリーグのように身近な“あこがれ”となってきているゴルフ。底辺の需要者が増えようとしている中、この競争は消費者にとってはウレシイことである。適度なプレーフィーとサービスが確立・認知されれば、レジャー・スポーツとしてのゴルフはまだまだ拡大の余地があるのではないか? 社用族のオジサンだけでなく、みんなの楽しみになる日も、そう遠くないと感じる。そうなれば、事業としても魅力が出てくるのではないか。

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成17年8月31日号・完―  
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