週刊アクセス
 
 
平成18年5月24日 第315号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
道路交通法改正――新しい駐禁取り締まり、処理は1台2〜3分
Scope of work(業務内容と範囲)
−米国鑑定業務統一基準(USPAP)2006改訂
 
     
道路交通法改正――新しい駐禁取り締まり、処理は1台2〜3分
  (産経関西 H18.5.19)  
   来月1日から駐車違反取り締まりの一部が民間委託されるのを前に、大阪府警は18日、大阪市中央区の府警本部で、民間委託に合わせて導入される新しい取り締まり方法の実演を行った。新方式で違反認定にかかる時間は最短で1台当たり2〜3分と、従来の数十分から大幅に短縮されて厳しくなる。
 府警によると、民間委託では、みなし公務員にあたる駐車監視員が、取り締まり手続きのうち違反認定などを代行。警察署が定めたガイドラインに沿って重点地域を巡回する。大阪では大阪市内27署分に6業者が参入、258人が活動にあたる。
 実演は、駐車対策課の警察官2人がモデルになり、緑を基調とした駐車監視員の制服を着て行った。まず標識と違反車両を指さし確認してデジタルカメラで撮影。携帯端末にナンバーなどの情報を打ち込み、その場で印字されるシール状の黄色い標章をフロントガラスに張り付けた。
 公平さを期すため、来月1日以降は、警察官による取り締まりも原則としてこの方法に切り替わる。駐車監視員は携帯端末の操作などに慣れる必要があるため、府警は委託先の業者に順次、訓練や講習を実施しているという。

いわせてんか! 大阪名物、違法駐車。
 道路交通法改正で、6月1日から駐車違反取り締まりの民間委託がスタートする。今後は、わずかな時間でも車を離れれば「違反」と認定されることになり、駐車違反がなかなか減らない現状を打破するための切札である。また車のフロントグリルに黄色い“輪っか”の駐車違反標章を2〜3個ぶらさげた強者もたまに見かけるが、違反金を滞納していると車検を受けることができない、車検拒否制度も新設される。
 開始当初は、委託された民間業者(警備会社等)が実績を上げようと厳しい取り締まりを行うことが予想され、警察官の方もそれに負けじと取り締まりを強化すると思われる。
 一方で、警察庁は駐車規制場所の見直しを行い、今年3月末までに全国で2万200区間、約1万5800キロの駐車規制を解除または緩和した。商店街や問屋街での貨物の積み下ろし駐車に対応するため、終日駐車禁止を時間帯駐車規制に緩和したり、貨物車の駐車できる優先枠を路上に設置するというケースが見られる。
 車中心のライフスタイルが進展する中、衰退の懸念されている地方都市の(車道に面した)商店街などでは、車を停めにくいことが来客のネックとなっていることも多い。駐車規制の解除・緩和によって活性化に結びつけようという思惑もあるようだ。
 私自身、物件調査やプライベートでもよく車を使うが、つい「ちょっとだけ」と路上駐車をしてしまいます。
 反省します m(_ _)m

 
 
 
 
Scope of work(業務内容と範囲)−米国鑑定業務統一基準(USPAP)2006改訂
  The Appraisal Foundation - USPAP-Standards  
  2006 USPAP AND SCOPE OF WORK

The biggest changes are elimination of the DEPARTURE RULE and introduction of the SCOPE OF WORK RULE.

2  What is scope of work?

In basic terms, the scope of work is the work an appraiser performs to develop assignment results. USPAP defines "scope of work" as the type and extent of research and analyses in an assignment. Note that this definition excludes reporting.

CREDIBLE ASSIGNMENT RESULTS

21 How is the new definition different from what is in a dictionary?

The new USPAP definition of credible, worthy of belief , is not really different from common usage. The context for use of the term in USPAP is explained in the Comment to the definition: credible assignment results require support, by relevant evidence and logic, to the degree necessary for the intended use.

22 What's important to know about "credible"?

Whether or not assignment results are credible is always measured in the context of the intended use of the assignment. This means that credibility is relative, not absolute. Assignment results that are credible for one intended use may not be credible for another intended use.

白川弘美「知って得する不動産英語」(住宅新報社、H17.12)Basic business vocab−PartI
 『Scope of work : *業務内容・範囲* 仕事を手がける時に、実際にどのような仕事を行うのか、その詳細をリストアップしますが、それをscope of workと称します。いい言葉ですねえ。「内容」だと「details」(=詳細)などを思い浮かべることが多いのですが、それではミクロの世界になってしまいます。中身と範囲を意味する「scope」を用いるとスッキリするのですが、なんとなくおわかりになるでしょうか?』(p78)


いわせてんか! 『信ずるに足る(credible)鑑定結果(鑑定評価額)(assignment results)は、その鑑定評価書の使用目的(intended use of the assignment)に必要とされる程度まで、関連する適切な証拠と論理によって裏付けられなければならない。』

 アメリカの鑑定評価における基準であるUSPAPの毎年改訂版2006年が出されていた。7/1から発効となる今回の改訂での目玉は「scope of work」である。前回も引用した白川弘美氏も以前であるが、この単語について記載していたので引用する。
 2005までは「DEPARTURE RULE=例外規定」を設け、例外のないものを「Complete Appraisal」、あるものを「Limited Appraisal」として、鑑定書の種類の違いとしていた。これからはあえて鑑定書を区別せずに、「scope of work」の違いとする。そこでの重要概念が「credible assignment results」である。
 不動産鑑定士は、鑑定依頼者との対話(鑑定評価の受付)を通じて、解決すべき問題をはっきりさせ、依頼目的とその鑑定書の使用目的を確定する。これに必要十分な証拠と論理で鑑定結果を導かなければならない。そして「鑑定評価の業務(調査及び分析)内容(type)と範囲(extent)」としてきっちりと鑑定評価書の中で記載し、依頼者の理解を得る。この過程を経てはじめて「信ずるに足る」鑑定結果であるといえる、とする。使用目的に照らせば、“例外”は初めから許されないということだ。内部査定目的ならその程度の証拠と手法で十分だが、裁判目的なら「信ずるに足らない」。
 鑑定依頼は千差万別であり、その意図するところは様々である。目的と条件、価格の種類は、対応しないととんでもないことになる。その意味でUSPAPの「scope of work」改訂は、より実務信頼性を高めるものとして参考とすべきだろう。

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成18年5月24日号・完―  
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