週刊アクセス
 
 
平成18年6月7日 第317号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
耐震や土壌汚染の適正鑑定求める−国交省、鑑定協会に
 
     
耐震や土壌汚染の適正鑑定求める−国交省、鑑定協会に
  (朝日 H18.6.6)  
   国土交通省は5日、証券化の対象となる不動産の鑑定で、耐震性や土壌汚染の状況などの評価を怠らないよう、日本不動産鑑定協会に求めた。協会は鑑定士や鑑定士事務所に通知する。
 鑑定士は、不動産の証券化の際に通常、その不動産の耐震性や土壌汚染、アスベスト除去などの状況について専門家がまとめたエンジニアリング・リポートを参考にする。このリポートを入手せず鑑定評価をするなどずさんなやり方が散見されるため、国交省は実態調査を始めている。

いわせてんか! 団塊マネーの矛先ではないが、不動産証券化対象不動産や信託受益権は急増している。この鑑定評価は証券発行額のベースとなるもので、一般市場での責任は重い。そこにきて「耐震」問題。土壌汚染、アスベストに引き続き、証券化対象不動産の価格を鑑定する際の重要事項として、俄然ウエイトが高まってきた。
 ただ、この3項目どれをとっても、相当に高度な専門性を必要とする。構造計算然り。そしてなによりも、鑑定士はこれを不動産の価格に翻訳しなければならない。エンジニアリング・リポートを入手しても、そこに試算された除去費用や補強工事費を、そっくりそのまま控除するわけにはいかない。市場は常に動く。一頃アスベストの調査には費用も時間もかかっていたが、最近では業者競合などで一気に費用が下がっている。ERの出所や、標準的市場コストとの比較も、本来ならしなければ信頼すべき鑑定評価書にはならない現実がある。
 鑑定士も、できうる限りで資料を収集し、真摯に仕事はする。しかし、限界もある。この現実は鑑定士自身が、ウエイトの高まりに遅れることなく、指針を公表していくことで対処する必要がある。

 
 
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成18年6月7日号・完―  
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