週刊アクセス
 
 
平成21年2月4日 第456号
 
     
  今週のヘッドライン  
 
M&Aや事業売却における公正価値評価
 ―IFRS基準適用を、積極的にとらえる
 
     
M&Aや事業売却における公正価値評価
 ―IFRS基準適用を、積極的にとらえる

   
 

いわせてんか! 先週の国際会計基準の続きとしての雑感である。
 IFRSの会計基準は「原則主義」といわれ、アメリカや日本の「ルール主義」と異なって融通は効くが「どのように適用したか」をちゃんと書かなければならないし、その自分で採用した基準を継続適用しなくてはならないという縛りがある。
 また、以下のような無形資産も極力資産計上して、買収プレミアムの残余としての「のれん」は極力小さくしたうえで、のれんの非償却を定めている。
無形資産の例示
 (出典:高浦英夫・監修、PwC Japan IFRS プロジェクト室・編著
  【IFRS 国際会計基準で企業経営はこう変わる】東洋経済新報社、2009.1.29、p154)

 ただし、当該のれんは「減損テスト」の対象となり、ちゃんと収益を上げているかどうかのチェックをしなければならず、突然の減損損失計上もありうるのである。つまり、貸借対照表計上数値の将来変動に大きな責任を伴うように作られてあるのだ。
 今の日本基準をIFRS基準へ変換・調整するのは大変コストがかかる。しかし、将来収益を生み出すものを、買った時点で、自分の方針で、きっちり公正価値評価して関係者に開示する。そして、予定通り収益を生んだかどうか皆がチェックできるようにする。
 これは積極的に捉えれば、既存の企業資産を再確認・再評価して集中と選択をするための足がかりとなるものである。また、その結果売り買いがある場合にも、社内的な売却・保有基準や、買い手への説明資料となるものだ。
 不動産を含めて、企業資産の有効活用には、IFRS基準の公正価値評価がひとつの方向性を示していると考える。

 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年2月4日号・完―  
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浅間山が、爆発しております。
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