週刊アクセス
 
 
平成21年3月11日 第461号
 
     
  今週のヘッドライン  
  RICS(英国鑑定基準)の2009改訂は「鑑定人の能力記載」

 ―実効性のある鑑定を担保するために
 
     
RICS(英国鑑定基準)の2009改訂は「鑑定人の能力記載」
 ―実効性のある鑑定を担保するために

  (RICS Valuation Standards March 2009)
※訳については「RICS評価基準(第6版)」(NPO法人 日本不動産カウンセラー協会)
 
   
Practice Statement 2 (実務規定第2号)
Agreement of terms of engagement (委託契約条項の合意)
 PS 2.1
Confirmation of terms of engagement (委託契約条項の確認)
(q)  confirmation that the valuer has the knowledge, skills and understanding to undertake the valuation completely

Practice Statement 6 (実務規定第6号)
Valuation Report (評価報告書)
 PS 6.1
Minimum content of valuation reports (評価報告書に最低限記載すべき事項)
(r)  a statement that the valuer has the knowledge, skills and understanding to undertake the valuation completely


いわせてんか! この3月1日より発効したRICS評価基準の改訂箇所についてひとつ。
 まずPS2では、評価書の委託契約の条項に、評価人が該当の評価を行うに当たって、十分な知識、技術及び理解を持ち合わせている旨の確認条項が加えられた。同時にPS6で、評価書自体にも当該能力を持ち合わせていることの記述が、必要記載事項となっている。
 依頼人との評価委託契約と鑑定書自体への能力記載は、評価人の専門家責任について、依頼人との委託契約の債務不履行責任と、鑑定書の専門家能力ベースの不法行為責任を問う要因として機能し、鑑定書の実効性を担保するものである。一年という短い期間でこの改訂が行われた背景には、様々な評価の場面で問題が起こったのだと推測できる。
 振り返って日本の基準だが、不動産鑑定評価基準には、鑑定書委託契約のこと自体記載がなく、鑑定報告書への必要記載事項には、能力表示は含まれていない。不動産にとどまらず、M&Aなどでは広く企業保有資産や株価の評価が行われ、国際的な問題も生じてくるだろう。まずは、国際的な評価基準の日進月歩をよく観察し、襟を正す必要があるまいか?

 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年3月11日号・完―  
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今週も、遅ればせながらの頂き物。栗とサツマイモ
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