週刊アクセス
 
 
平成21年4月1日 第464号
 
     
  今週のヘッドライン  
  こんな時代 大阪オフィスビル投資・賃料の今後を予測する
 ―投資家調査の利回りレンジやGDP連動による将来予測
 
     
こんな時代 大阪オフィスビル投資・賃料の今後を予測する
 ―投資家調査の利回りレンジやGDP連動による将来予測

  ((社)大阪府不動産鑑定士協会研修 H21.3.30)
 
  (財)日本不動産研究所 特定事業部
  参事 福山 雄次 氏 (不動産鑑定士・一級建築士)
 『J-REIT等の公表資料からみた不動産投資市場の動向』


いわせてんか! 講師の福山氏は、平成16年から昨年夏まで大阪の証券化案件等にかかわる仕事をされており、表題の話題に造詣が深い。印象に残ったフレーズをご紹介しよう。

 
 「大阪中心部での地価の下落は、いわゆるファンド・バブルがはじけた部分大きいが、その主因はレバレッジ・システムの崩壊である。」

 WACCから推定する標準利回りでは、銀行が一杯貸してくれる時代なら「てこの原理」が働いて、高い自己資本利回りや低いWACCが得られるため、高い値段で買っていいという理屈になっていた。しかし、近時の金融危機は、特に不動産投資への新規投資やリファイナンスを困難にして、借入金比率が下がった分WACCが上がり、買える値段が下がってしまった。これが、地価下落の要因だというわけである。
 さらに、これ以上に高く買われた物件の理由としては、主に外資等の企業戦略(賃料のアップサイドシナリオや売りの利ざやなど)を挙げられていた。いずれの戦略も見込まれない今、この部分のバブルもはじけている。

 「御堂筋沿いのオフィス利回りのレンジが、前回(2008.4)が3.5〜6.7%だったのに対し、今回(2008.10)は4.0〜9.0%と、リスク増大方面に拡大した。」((財)日本不動産研究所【不動産投資家調査】結果から)

 平均値よりもレンジの変動や上限値・下限値の推移のほうが、市場の気持ちをよく表している。今回は、リーマンショックを挟んでのアンケート結果だが、如実にリスクの拡大が見て取れる。

 「オフィス賃料変動モデルを作成しているが、関西はGDP(県内総生産)との相関が高い。」

 大きく企業収益などの稼ぎ度合いを表すGDPに、やはりオフィス賃料も相関している。これでいくと(かなりの下落予測が出ているなか)、ここ3年ばかりはマクロ面からの賃料回復は難しいのでは、との私見だった。
 北ヤード等の供給が多く見込まれるここ3年。需給バランスから空室率が上昇し、これに少し遅れて賃料下落が始まる。「トップビルの新規賃料にがんばってもらわないと心配だ」と、締めに言われていた。

 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年4月1日号・完―  
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