週刊アクセス
 
 
平成21年4月8日 第465号
 
     
  今週のヘッドライン  
  中小企業の経営承継法が本格始動 非上場株式の相続税等猶予の特例公表
 ―会計士や税理士が行う非上場株式の評価がクローズアップ
 
     
中小企業の経営承継法が本格始動 非上場株式の相続税等猶予の特例公表
 ―会計士や税理士が行う非上場株式の評価がクローズアップ

  国税庁HPより
 
  『(1)非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例
 後継者である相続人等が、相続等により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を被相続人(先代経営者)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき相続税のうち、その株式等(一定の部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
 なお、この特例は、平成20年10月1日以降の相続等に係る相続税について遡及して適用されます。
(2)非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例
 後継者である相続人等が、贈与により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を親族(先代経営者)から全部又は一定以上取得し、その会社を経営していく場合には、その後継者が納付すべき贈与税のうち、その株式等(一定の部分に限ります。)に対応する相続税の全額の納税が猶予されます。
 なお、この特例は、平成21年4月1日以降の贈与に係る贈与税について適用されます。』


いわせてんか! 社長の高齢化により、中小企業の事業承継がにわかに本格化している。
 これに対処すべく、H20.10.1より「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(通称、「経営承継法」)は施行され、その目玉である非上場株式等の相続・贈与税の納税猶予のあらましが、このほど国税庁のHPにアップされた。
 この法の趣旨は簡単に言うと、後継者を決めて現社長から株式を贈与もしくは相続する場合、一定の要件をクリアすれば、その株式については、後継者以外の相続人からの遺留分減殺請求ができなくなる(民法の特例)というもの。要件には、当事者全員の合意が必須となり、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を経なければならない。また、非上場株式は上場株式と違って、相場がない。そこで、株式の評価額については、弁護士・会計士・税理士が相当であると証明した価額とする。(経営承継法4条)
 そして、この株式評価証明額部分の相続・贈与税の納税猶予である。農家の相続のように、農業を継続している間は農地の相続税を猶予するのと同じ趣旨。代々耕してきた土地から、代々経営してきた会社となったわけだ。これで、遺留分請求や相続・贈与税支払いによる事業の承継に必要となる資産・資金の流失の心配が大きく減った。
 ここで大きくクローズアップされるのが、非上場株式の評価額。経営承継法では、上記の専門家に独占的に、価額相当性証明権限を与えた。しかし、中小企業の価値評価は、難しい。確立された評価手法が存在しないのが現状である。現在有効なのは、公認会計士協会の「企業価値評価ガイドライン」と、この2月に中小企業庁の研究委員会が公表した「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン」であるが、微細に応え、共通認識となっている評価基準とは言い難い。
 中小企業が保有する不動産の評価額も重要となる。また、資産評価の分野では、不動産鑑定評価理論が企業価値評価に先行・定着しており、評価手法そのものは共通であることから、この点からの指摘は有用だろう。
 今年度のホットな話題となるであろうこのテーマ。週刊アクセスでも、継続的にご報告しようとおもう。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年4月8日号・完―  
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