週刊アクセス
 
 
平成21年5月27日 第472号
 
     
  今週のヘッドライン  
  賃料訴訟における「鑑定事項」と「前提事実」  
     
賃料訴訟における「鑑定事項」と「前提事実」
 
 
 

いわせてんか! 雑感である。
 これまで、賃料の増減額訴訟における「鑑定事項」(鑑定をする対象事項、裁判所からの「問い」)は、「適正(相当)賃料額を求めよ」というものであった。当事者が「増額してくれ」「減額してくれ」と請求して争っているので、その時点の「適正な賃料額」を、専門家たる不動産鑑定士に依頼するのである。
 しかし、これまで当コラムでも取り上げてきたように、裁判上で、当事者間の契約締結の事情やその後の経緯が相当賃料額に大きく影響することが指摘され、これを考慮した「相当賃料額」が求められるとすると、これまでのようにはいかない。それら当事者事情という「前提事実」が、鑑定にとって不可欠となるのである。
 だが、訴訟では、この「前提事実」の決定には、当事者が争っている点(争点)を整理し、結論付けなければならない。鑑定士だけでは、重荷である。
 そこで、平成15年に新設された民事訴訟規則129条の2の「三者協議」(裁判所・当事者・鑑定人)を利用することが考えられる。特に鑑定に必要な前提条件となる事情について争いがある場合は、鑑定前に「三者協議」によって資料提出やヒアリングを行い、裁判所に「前提事項」を決定してもらうのである。そして、これを条件として「相当賃料額を求めよ」という鑑定事項を出してもらう。
 しっかりとした前提あってこその、有効な鑑定なのである。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年5月27日号・完―  
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インフルエンザで大変な週でした。
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