週刊アクセス
 
 
平成21年11月4日 第495号
 
     
  今週のヘッドライン  
  公表データの少ない分野だから専門家の意見が必要となる
 ―「鑑定」と「算定」の違い
 
     
公表データの少ない分野だから専門家の意見が必要となる
 ―「鑑定」と「算定」の違い

   
 

いわせてんか! 表記のことを、クライアントの方々とお話をしていて強く感じる。
 例えば、不動産売買や賃貸のデータが数限りなく公表されていれば、売買や賃貸をしたい人々はこれらの金額を見て行動するため、自然と一定の幅の金額に落ち着くだろう。また、上場株式は日々値動きが公表されているから、過去の時点の価格について迷うことはない。
 問題は、公表されているデータが少ない場合、また、データがあっても値動きが激しい場合だ。不動産の価格については、株式ほどの変動はないものの、バブルなど社会情勢の変化によっては激変することもある。
 裁判などで不動産の価格について揉めるのは、価格の裏付けとなる売買や賃貸の証明データが少ない、また、比較がしづらいからであり、まさにここで専門家の見識や知見が必要となる。「算定」ではなく「鑑定」と呼ばれている意味がそこにある。
 鑑定とは、広辞苑(第6版)で、まず「物の真偽・良否などを見定めること。めきき。」とあり、法律では「学識経験を有する第三者が、裁判官の判断能力を補助するため、専門的見地からの判断を報告すること。」とある。ある定まった数式に当てはめれば、必ず同じ答えが出るものは、あえて専門家の知見を必要としない。
 裁判に限って言えば、裁判官の心証をどう「確からしい」ものにするかが鍵であり、そのために、直接的なデータが少ない場合やない場合は、間接的な市場の証拠(経済指標の変動や出来事など)や対象不動産やこれが関わる市場についての詳細分析(現建物で行われる事業の業界分析(市場規模や盛衰))など、定量・定性的分析を十分に尽くすことが必要となる。
 「難しいかな?」と思われる案件であっても、是非一度専門家の門を叩いていただき、解決のため有効な手段についてご相談頂きたいと思う。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成21年11月4日号・完―  
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