週刊アクセス
 
 
平成22年3月10日 第513号
 
     
  今週のヘッドライン  
  販売用不動産等の評価における適切な見積額とは?
 −棚卸資産会計基準による改正で、鑑定基準に基づく自社見積もりをする場合
 
     
販売用不動産等の評価における適切な見積額とは?
 −棚卸資産会計基準による改正で、鑑定基準に基づく自社見積もりをする場合

   
 

いわせてんか! 「国際会計基準のアダプション」を研修で聞いてからまもなく、これにかかわるご相談を受けたときのお話である。
 日本の会計基準で不動産の時価が評価されるものといえば、これまでも多く取り上げた「減損会計」が有名。また、棚卸資産の評価についても、「販売用不動産等」についての強制評価減(H12)があった。調べてみると、企業会計基準9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準委員会、平成18年7月5日)の実施に伴って齟齬があるので、昨年H21.2.17に公認会計士協会が監査・保証実務委員会報告第69号「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」の改正版を出して“調整”していた。
 鑑定にかかわる変更点は、会計基準の「正味売却価額」の一要素である「売価」の不動産版として用いられている「販売見込額」について、販売公表価格や販売予定価格が(適切で)ない場合に、従来は「鑑定評価額基準にする」となっていたものが、『「不動産鑑定評価基準」に基づいて算定した価額基礎として』(下線は筆者。)見積もるとなったこと。鑑定基準に基づいた価格には「自社による合理的な見積額」も含まれることになった。
 会計基準の変更による時価評価は、当然のことながら“後ろ向きな”コストがかかる。CREすべてにつき鑑定評価を取れば、それは適正ではあるが、見合わない。適切な損益配分や適正開示に照らして、妥当な適正性とコストが模索されたのは至極当然であろう。しかし、一方で「自社見積り」やフルスペック鑑定評価でない「価格等調査」を活用する際にも、妥当な適正性は要求されるのである。
 当方が懸念するのは、自社見積もりの際の適正性・継続性・比較可能性である。期末時点での静的評価であり、一定期間ごとに実施しなければならない点で、コストと適正性のバランスが問われる。また、総資産における該当CREの「重要性」の判断についても、一定の統一した基準が必要となろう。重要性の高いものには、鑑定評価が適切である。
 物件数や事業関連の重要性に応じて、各々の企業にカスタマイズされたCRE時価評価システムが求められるだろう。ここは鑑定士に一度、ご相談いただきたいものである。鑑定書だけではない、妥当な適正性を満たす方策をご提供できるかもしれない。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成22年3月10日号・完―  
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暑かったり、寒かったり・・・。今日は、関西では雪は降っていませんよ。
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