週刊アクセス
 
 
平成22年10月13日 第544号
 
     
  今週のヘッドライン  
  ASBJ「公正価値測定及びその開示に関する会計基準」公開草案
 −企業会計における、日本版“フェアー・バリュー”の定義とは?

 
     
ASBJ「公正価値測定及びその開示に関する会計基準」公開草案
 −企業会計における、日本版“フェアー・バリュー”の定義とは?

  企業会計基準委員会:財務会計基準機構ホームページ  
 
平成22年7月9日
企業会計基準委員会
企業会計基準公開草案第43号
「公正価値測定及びその開示に関する会計基準(案)」
及び
企業会計基準適用指針公開草案第38号
「公正価値測定及びその開示に関する会計基準の適用指針(案)」
の公表

 企業会計基準委員会は、公正価値測定に関する国際的な会計基準の取扱い及びその動向を踏まえつつ、公正価値測定の考え方及びその開示について審議を重ねてまいりました。
 今般、平成22年7月6日の第205回企業会計基準委員会において、標記の企業会計基準の公開草案(以下「本会計基準案」という。)及びその適用指針の公開草案(以下「本適用指針案」という。また本会計基準案と本適用指針案を合わせて、以下「本公開草案」という。)の公表が承認されましたので、本日公表いたします。


いわせてんか! IFRSのアダプションが現実味を帯び、会計基準の基礎たる貸借対照表価額の測定のための「公正価値(Fair Value、フェア・バリュー)」の定義や考え方が、公開草案として提示された。市場の定義など文言ひとつから、国際会計基準を意識して定められている。
 不動産鑑定基準との関連では、「最有効使用」を会計に導入した点が大きい。
 まず、会計基準では以下の如く記述する。

   「最有効使用」とは、市場参加者が、資産の価値を最大化するように資産を単独で使用すること又は資産のグループ(事業がグループ単位となる場合など、負債を含む場合がある。)の価値を最大化するように資産をグループで使用することをいう。このため、企業の使用意図と異なる場合であっても、市場参加者の観点から最有効使用を判断する。

 鑑定評価基準では、以下の如くである。

   不動産の価格は、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用(以下「最有効使用」という。)を前提として把握される価格を標準として形成される。この場合の最有効使用は、現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、良識と通常の使用能力を持つ人による合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

 あくまで「市場」の背景を十分に斟酌して評価する点で同じである。本家IFRSの事例では、工場の公正価値でも、マンション素地としての「出口価格」を斟酌しなければならない(正確には、土地につき、工場としての時価プラス取引コスト控除後のマンション素地価格と工場時価との差額。)。
 これから先、日本の企業も“評価”という二文字に悩まされることになる。同じ悩みは、鑑定士が先輩だ。是非、ご相談されたい。
 なお、IFRSの公開草案は以下。

Projects/Work plan for IFRSs/Fair Value Measurement

Exposure draft and comment letters [May 2009]

 公 開 草 案  :  公 正 価 値 測 定  [Japanese]

 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成22年10月13日号・完―  
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