週刊アクセス
 
 
平成23年5月18日 第575号
 
     
  今週のヘッドライン  
  東証、あらたな住宅価格指数で不動産投資市場の活性化を期待
 −鑑定士は、現場から検証、普及させる責任あり

 
     
東証、あらたな住宅価格指数で不動産投資市場の活性化を期待
 −鑑定士は、現場から検証、普及させる責任あり

  東京証券取引所ホームページ  
  東証住宅価格指数(試験算出)

「当指数は、首都圏の既存マンション(中古マンション)に関して、財団法人東日本不動産流通機構に登録された成約情報を活用し、同質性を有する物件の価格変化に基づいて算出された国内初の指数です。不動産価格の動向に関する一つの指標となるため、J-REIT(上場不動産投信)を含めた不動産投資市場の活性化が期待されるとともに、既存住宅の価格動向に関する国際的な比較も可能となります。」(H23.4.26公表)

「当指数は、財団法人東日本不動産流通機構と早稲田大学の協力のもと、リピートセールス法を用いて算出された価値加重算術平均型指数です。算出する地域は、東京・埼玉・神奈川・千葉の各都県と、それらを総合した首都圏総合の5つです。リピートセールス法とは、同質性を有する既存マンションの複数回の売買価格を活用し、既存マンションの価格水準の動向を推計する手法です。同様の手法が世界的に利用されていることから、既存マンション価格の国際的な比較等も可能となります。」


いわせてんか! 首都圏に限られてはいるが、住宅価格のインデックスが登場した。1993(平成5)年6月以降の「リピートセールス法」による指数である。現在、リクルート・IPDジャパンの「リクルート住宅価格指数」が「ヘドニック法」で公表されている。国土交通省も、世界的共通CPI作成の動きの中で住宅価格指数の公表を予定している。
 金融危機から3年弱、不動産価格の変動指標を国際比較できるように求められてきていた。軍事でいう“早期警戒システム”(EWS, early-warning system)の意味で、また、不動産投資市場のグローバルな活性化に寄与するものとなろう。
 不動産鑑定士としても、不動産価格の統計的傾向を把握することができ、大変ありがたいことである。しかし一方で、地価公示等の公的評価や不動産鑑定の現場での肌感覚をもつ専門家として、統計分析結果を理論だてて検証する責任がある。また、統計の性質上、広い範囲・地域での価格変動結果であり、“大きな流れ”と“小さな流れ”、個別の不動産価格への反映方法を説明する役割もあろう。
 ともかく、不動産価格を知る上で重要な統計であることには違いない。鑑定士は、これを普及させる意味を含めて、鑑定評価を進める必要がある。

 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成23年5月18日号・完―  
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