週刊アクセス
 
 
平成23年11月9日 第600号
 
     
  今週のヘッドライン  
  IFRS雑感
 −時代は変化するも、寄る辺となる基準の議論は重要だ

 
     
IFRS雑感
 −時代は変化するも、寄る辺となる基準の議論は重要だ

   
 

いわせてんか! IFRSについては当コラムでも取り上げてきたが、お膝元であるEUの危機は、この共通基準の行く末を左右しているのではないか、と想像する。
 日本の会計への適用は延期となり、変な意味の“ブーム”は下火気味だが、長年かけて議論してきた国際会計の基準として、その過程に学ぶところは大きいと感じる。その一端が、"Basis for Conclusion"(結論の背景)に現れる。
 例えば、細かい話だが、公正価値測定において、いままで金融資産の評価に使っていた「感応度分析(Sensitivity Analysis)」は、IFRS13では全資産・負債において適用することにしたが、これに対して、企業からは「コストが大変だ」「どうするの?」とかなりの抵抗があった、と書かれている。「しかし、われわれはやることにした!」と、その口調は勇ましい。
 取得原価から時価へ評価原則を転換することは容易ではない。いい部分も悪い部分も出てくる。しかし、リーマンに代表される世界的金融危機や不況などを事前に察知する意味での会計基準の精緻化は、必要だ。投資家や人々と企業の利益はそう反する。コストと見合いのベネフィットが必要と考えるのは企業人の常だが、ベネフィットを語るなら、今公共性ははずせない。
 日本の会計基準であれ、鑑定基準であれ、変化する時代に合わせていくのは大変だし、これには大きな抵抗が伴うが、まずは “寄る辺となる基準” 議論を尽くして、進むべき道を探さなくてはいけない。
 外圧を少し回避したからといって、この流れがなくなるわけではないのである。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成23年11月9日号・完―  
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洪水、地震・・・経済危機と、不安な世の中が続きます。
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