週刊アクセス
 
 
平成23年12月14日 第605号
 
     
  今週のヘッドライン  
  東証住宅価格指数と東証リート指数
 −市場の“風”をいち早く知るためには、どちらが有効か?
 
     
東証住宅価格指数と東証リート指数
 −市場の“風”をいち早く知るためには、どちらが有効か?

   
 

いわせてんか! 先日、鑑定士の研修に参加した。証券化対象不動産の応用研修と題したその講義のなかで、東証の不動産証券化市場への取り組みとして、「東証住宅価格指数」の実験配信の話が興味深い。
 2011.4.26より、東日本レインズから提供を受けた中古マンション売買データ(関東圏)に基づき、「リピートセールス法」により時系列の住宅価格インデックスを提供している。アメリカの「S&Pケースシラー住宅価格指数」と同様のデータ分析であり、1993.6からのデータがある。
 中でも興味を引いたのは、同指数と「ARES J-REIT Property Index」(東証リート指数)との比較グラフだ。リーマンショック後(2007.7)、半年ほど遅れてリート指数が下がり始めたのはタイミングがずれたものとしていいとしても、住宅指数が2009.7に反転上昇した後も、リート指数はいまだに下落のままだ。解説者の横田雅之氏が、2008では、投資家に対して胸を張ってリート指数を説明できるが、2009後半以降、指数の逆転現象をすっきり説明するのはなかなか難しい、といっていたのが印象的だった。
 リート指数は鑑定評価がベースであり、特に、継続案件では半年後ごとの「時点修正」がリート指数に大きく影響を与える。米国のケースシラー指数の上昇反転期が、東証住宅価格指数の少し前(2009.5)である相関図をみると、こちらのほうが市場の実態に近いのかもしれない。
 鑑定評価に対する批判として、この「スムージング」や「タイムラグ」が取り上げられることが多いが、市場の“風”をいち早く察知するという目的で利用する場合は、インデックスの方が適切なのかもしれない。上記リートの「時点修正」も、多角的な視点から検証する仕組みが求められているともいえる。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成23年12月14日号・完―  
 戻る  
     
 
アクセス鑑定『今日のおやつ
クリスマスが近づき、コート姿も増え、冬らしくなって来ました。
クリスマスが近づき、コート姿も増え、冬らしくなって来ました。