週刊アクセス
 
 
平成25年10月9日 第681号
 
     
  今週のヘッドライン  
  相続対策で、信頼できる専門家を見極める方法
 − 勧める対策に、長期的な社会的・経済的根拠があるか否か?
 
     
相続対策で、信頼できる専門家を見極める方法
 − 勧める対策に、長期的な社会的・経済的根拠があるか否か?

   
  成田仁・富田隆史「相続税は不動産投資と法人化で減らす」
(幻冬舎「経営者新書」063、H25.8、P80)
「…日本の税制では、法人に対する課税と個人に対する課税では、今後、どう考えても法人にやさしくなり、個人には厳しくなることが予想されます。そういう意味で…相続財産を法人名義に換えてしまうことが望ましいといえます。」
  

いわせてんか!  先週に引き続き、新書から。
 みなさんも相続及び相続税関連の新書が数多く出版されていることはご存知だと思う。ご自分の身で考えていただいてもお分かりの如く、核家族化、相続税基礎控除の低下、団塊の世代の定年…いずれのキーワードも「相続への不安」を呼ぶ。これに応えるべく「わかりやすい」指南書が出るのは当然である。主に、税金面では税理士や公認会計士、法律面では弁護士、その中の土地評価に関しては鑑定士も一部執筆している。
 今回引用した新書は、不動産仲介ベースの不動産コンサル、税理士兼鑑定士という2人が執筆し、法律面で弁護士の監修(チェック)を得たもの。全員集合だ。
 そのなかで響いた一節が引用の一文である。
 円満な相続や節税という目的を果たすため、専門家は様々な選択肢を提示する。その際、依頼者はどんな基準で、その選択肢を選べばいいのか? ともすると、専門家がやりやすい方向でもっていかれてしまう。その方が、当の専門家の利益が大きいからである。ある専門家が、ひとつの選択肢を強く勧めるのは仕方がないとして、その選択根拠は、十分に納得のいくものでなければならない。本書では、法人設立で相続人財産(特に不動産)を移転して相続財産評価を“圧縮”し、かつ、相続人保有財産を現金など生前対策しやすいものに転換する、という戦略が押し。その基礎して、上記の「日本における社会的、経済的要因の将来予測に基づく、法人関連税・軽課と個人関連税・重課」を指摘しているのだ。
 不動産の価格や賃料は、当たり前だが変化する。税制もそう。相続対策は長期にわたり、いつ“その時”が訪れるか予測できない。予想が外れて“ハイ、残念でした!”では済まない金額である。また、一番重大なことは、家族の幸せがかかっているのである。
 税金やとりあえずの合意といった、もめ事をおさめるだけの対処療法は、こと相続に関しては取るべきではない。また、自らの利益のために、長期的な幸福を損ねるような対策を勧める専門家は、帰ってもらわなければいけない。クライアントの方々は、よくよくこの点を踏まえて、いろいろな質問を目の前の専門家に投げかけながら、見極める必要があろう。
 
 
 
 
 ※「いわせてんか」は、(株)アクセス鑑定の統一見解ではなく、執筆担当者の私見にすぎません。

  ―平成25年10月9日号・完―  
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10月も中旬へ入るのに、夏へ逆戻りです!
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