特集2
中古マンションの市場価格の分析
松 永  明
1.分析手順
中古マンションの価格は、利便性、快適性、ステータス性等様々な価格形成要因により形成されるが、その中でも建物の品等の良否が重要な要素となる。
高級マンション型、ファミリー型、ワンルーム型等建物の品等の良否は初めから認識されているものの、それそれのタイプについて市場価格は結局、経過年数に収斂されていくのではないかとの仮説にもとづき以下の手順にしたがって市場価格の分析を行った。
(1) 出来る限りの成約事例を入手する。
(2) 事例を経過年数ごとに区分し、総額と坪単価の平均値を求める。
(3) 築後経過年数と平均坪単価について回帰分析を行い、相関の程度を計るとともに、グラフ化し、理論式を求めて理論値と実測値との開差を分析する。

2.分析結果とモデル式
(1) 中古マンションの成約事例は、大阪市(旭区、此花区、城東区、生野区、中央区、鶴見区、東住吉区、北区、淀川区、)、吹田市、豊中市の平成10年から平成11年にかけての1年分、サンプル数2005事例を収集した。(後記資料1左上参照)
(2) つぎに、2005事例を築後経過年数毎に平均坪単価を求めた。(資料1左上参照)築後1年後から34年後まで一覧すると、築後経過に伴って坪単価は概ね規則的に下がっていることが判明した。
(3) そこで、築後経過年数と平均坪単価について回帰分析を行い、相関の程度を見るに、重相関係数(R)0.940414、決定係数(R2)0.884378の高い相関を得た。(資料1右上参照)

 グラフ表示を行った結果が、資料1の下段の表である。これによれば、多少の歪みが認められるも概ね右下がりに逓減していることがわかる。
築後経過年数が多いほど坪単価が逓減傾向にあるが、直線式で求めれば次式となる。
単回帰式 Y=−2.58X+154  X:築後年数、Y:坪単価(万円)
さらに、逓減傾向に着目し、自然対数による曲線式で求めれば次式となる。
近似曲線式 Y=−29.733Ln(x)+186.4  X、Y値は同上
収集した事例は経過年数毎にサンプル数にバラツキがあるが、築年数が浅い場合には傾きが強く、相当年数経過した場合は逓減傾向にあることから、近似曲線式の方が実態に沿ったモデル式と判断できる。
(資料1下段参照)
3.考察
(1) 上記モデル式は、経過年数を切り口としたもので、地域性、利便性等は考慮外とし、中古マンション価格の傾向をみるための算定的要素の強い性格であること。したがって、切片や傾きの数値は地域性により異なる。
(2) 上記モデル式に代入し、同一マンションの10、20,30年後の坪単価の対1年比をみると次のようになる。
経過年数 平均坪単価 現価率 理論坪単価 現価率
155.5 100 165.8 100
10 130.9 84 117.9 71
20 100.2 64 97.3 59
30 82.4 53 85.3 51
以上から、築後30年経過しても新築1年内の取得価格に対する現価率は50%を越えて推移していることで相当将来の資産価値は維持されていることとなる。

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