⑥ネット社会における無店舗販売の拡大

テレビショッピングやネットショッピングは若年齢層はもちろんの事、中高年齢層にもすっかり定着し、商品の品質も安定し、割引やポイント付の価格で提供され、何と言っても多くの商品が翌日ないし翌々日には注文品が届くようになり、今や過疎地にドローンで運ばれる実験が行われているとか。
どこまで便利になっていくのか枚挙に暇がなりません。
このように、ほしいモノが安く、希望の時間に自宅に届くことは、かつての流通革命から今日の物流革命によるものといえるのではないでしょうか。
1990年代からの、いわゆるバブル崩壊後の第二次流通革命では、中小規模の小売業の急速な店舗数の縮小と、それに代わるコンビニ店舗数の拡大がありました。
次に、大手スーパーやデパートの停滞と、モータリゼーションに対応する郊外型大規模店舗の出現が顕著になっています。
この背景に、消費者の低価格指向、規制緩和(大店法の廃止)、高規格道路ネットワークの整備、IT革命の進行、そしてロジスティクス(企業経営における物資流動)の発達があります。
物流合理化の急進展の全体をさして物流革命といいますが、物流における近代化・合理化は、生産・販売面のそれに比較すると立ち遅れていました。
パチゼーション、コンテナリゼーションによるユニット・ロード・システム(※)の進展、倉庫の自動化などにより、近年急速に合理化が推進されました。流通センターの計画的立地・コールド・チェーンなどもその一翼を担っています。
ところで、物流は、経済活動の基盤を支える活動であり、生産者と消費者を結び、産業と国民の生活基盤を支える重要な役割を担います。
これまでは、メーカーが物流施設を通じて小売店へ搬入し、消費者がそれを買うというのが従来の流れでしたが、通販業者が物流施設を通じて直接消費者に届けるいわゆる「無店舗販売」が深化し続けているのです。
そこに目を付けた物流リートの日本ロジスティクスファンド投資法人では、物流施設を保有し、物流事業者などのテナントへ賃貸することで収益を得ており、この点では、オフィスビルや住宅の不動産賃貸事業と何ら変わりませんが、同じ不動産投資でも対象とする不動産によって収益構造が異なり、物流施設の賃料は消費者物価指数との関連性が高いと言われており、賃料水準が比較的安定しているのが特徴です。
オフィスビルや住宅とは賃料動向が異なる物流施設に投資することにより、分散投資のメリットが得られるものと考えられます。
その結果、物流センターが、大都市中心部から20km~30km圏内で、高速道路ICや大都市間を結ぶ動脈道路などにこれまであった大規模工場跡地や、新に開発物流団地に次々と建ち、あまりヒトが集まらない所の土地価格が上昇してきています。
ここで難しいのは、土地・建物の一体評価です。物流用地としての取引事例や物流テナント入居後の評価は、単純に土地価格+建物価格だけではなく、ユニット・ロード・システムという事業価値や将来性を加味して価格が形成されているため、一種の工場財団の評価になるのではないかということです。
我々不動産鑑定士は、土地の取引事例で建物込みの総額で取引されている場合には、配分法を適用して、建物価格を総額から控除して残余部分を土地価格として認識しますが、最新の物流センター用地であれば極めて高い価格になってしまい、地域の価格水準と乖離することが起きると推測されます。
IT化され、AI化された物流施設の評価は如何にするべきか頭を悩ませるところですが、現段階では、データを収集する段階で明確な評価のあり方はもう少し先になりそうです。
以上

※ユニット・ロード・システム
単品の商品をまとめてつくられた荷姿型を崩すことなく最終の目的地点まで一貫して輸送するシステム。
パレチゼーション、コンテナリゼーションと同類語。荷役においては機械荷役による合理化・省力化ができ、輸送・保管においては安全性・荷ずれ防止・盗難防止などにすぐれている。

(令和元年6月17日執筆)

2019年06月17日